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総理が長く居続けている理由、単に支持・不支持だけではないのでは?

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「熱心な支持者」と「熱心なアンチ」が互いに争い、それにそれぞれの「落ち度」と無関心が加わって、内閣支持率 "実質" 100%。

 

 今日で安倍首相の在職が桂太郎総理を超えた。まあ、コレを「おめでとー」と言うか「やめろー」と言うかはココでは避けるとしよう。なぜなら、私が考える「安倍内閣が長続きしている理由」というのは、そんな単純な支持・不支持だけの問題ではないと思うからだ。

 

 

予想(1) 支持者とアンチの強烈な言い争いによって起きる「サイレント・マジョリティー」

 読売新聞の分析記事を読んでいる限りは「無敵の総理であり、バカな野党と足を引っ張る与党議員・閣僚は引っ込め」みたいな書き方をしている。確かに権力闘争において、一筋縄では行かない熾烈な争いが起こっているのは確かなようだ。最も、首相の気持ちをそのままストレートに言うのは読売・産経新聞の仕事であるため、朝日・毎日・東京新聞共同通信ではひたすら叩くことに熱中するしかない。

 

 この「強烈な支持」と「強烈な不支持」が激しく戦うとどのようなことが起きるのかと言うと、もちろんそれぞれのポジショントークで首相をアツく語ること自体は自由。だけど、そのように指摘されると「面倒な総理だなぁ……」とか「下手にアレコレ言うと支持者 or アンチから何か言われそうだから、事なかれで行こう」みたいな考えになってしまうのが先ではないだろうか

 

 インターネット空間が出現したことで、それまでの既存メディアが伝えてきたことは政策議論ではなく、与野党のプロレス中継だったということがバレてしまい、結果として一介の読者にしたら「プロレスはいいから、重要法案の中身を左右問わずに冷静に分析しろよ」と言いたくなる。でも、そんなことをしても新聞・通信社にしたら面白くないし、国会や総理官邸etcの中で "おらが村" となっている記者クラブのオッサンオバサン記者にしたら、そもそも法律の中身とかほぼ分かっておらず、ポカーンとなって事なかれ主義的に流した方が得策。

 

 結果として、読者離れが加速するのは当然である一方で、その法案、さらには正義感やモラルを巡る価値観が人それぞれ異なるため、どうしてもポジショントークになってしまいやすい。ある種、安倍首相の進退問題というよりかは、既得権益を持ったオッサンオバサン老害との戦いであり、進退を巡る議論などあまりに不毛な話なのだ。だから「異論しづらいなぁ……」という引っ込み空気が出てきてしまう。

 

予想(1-1) 既存メディアの「落ち度」

 前述と重複するが、いわゆるインターネットが「第4の権力」となった今では、新聞社・通信社・NHK・民放といったマスメディアの報道は、単なるお茶の間を騒がせるだけのプロレスに過ぎないことが分かる。

 

「若者が新聞を読まなくなり、結果として安倍首相の支持に貢献している」みたいなことを福岡県出身の某大臣が物申していたこともあるが、微妙に違う。実際のところはニュースには触れているものの、別に紙である必要がないのと、早い話「新規で法律が通る場合には各省庁の公式サイトに上がってる資料を読んだ方が早くて批判しやすいから」である。つまり、表向きにgdgdと話が平行線を辿っている最中でも、ひとまず今国会で通そうとしている法律、あるいは成立した案件を誰もがパブリックに閲覧できることから、プロレス展開しか出来ないマスメディアなど不要と言わざるを得なくなる。

 

※ちなみに自分も新聞を宅配しているが、宅配と報道姿勢は全くの別問題。とはいえ、新聞不要という流れが販売に影響していることは事実であり、先行きは暗い。

 

予想(2) 政府のグランドデザイン(全体構想)が不透明

 予想1でも触れたが、現在の総理官邸は、過去の第1次安倍内閣の失敗や歴代内閣で起きた政府主導の問題点を総当たりで克服し、絶対的権力を保てるように総理の権限が極端に強くなるようなシステムになっている。菅官房長官が危ういが、仮に菅氏が引責辞任しても代替が十分に利くため、安倍首相にしたら「石破と同様、裏切り者」としてサラッと流す程度になると見ている(その代わり、今井補佐官兼秘書官といった、代替が利く補佐官・秘書官を脇に固めることで、ダメージを出来るだけ最小限に抑える工夫もある)

 

 一方で、そもそも安倍首相は昔、「美しい国へ」という本を出版しており、そこでは憲法を改正し、徹底した愛国主義構造改革路線を貫く」みたいなことを書いている。それが良いか悪いかは別として、第1次内閣で失脚した後の第2次内閣では、「戦後レジュームからの脱却」というよりかは「第1次内閣の失敗を繰り返したくない」という、ある種の保身路線が目立つようになったと見ている

 

 結果、最初の頃はアベノミクスと称して大胆な経済改革路線を貫くものの、二大政党制の実質的な崩壊(そして馴れ合い)や、それに伴う敵不在が発生したことで、途中から「この総理は何をしたいんだろう?」みたいに首を傾げることが多くなったように見える。

 

 また、いわゆる忖度問題が表面化した後は「組織の硬直あるある」(例:声がデカいだけで中身がない・前例ありき・その時のノリで政策を決める・やたらと精神論を押しつける・何とかなるさ~・昔はよかったetc)も目立ち始めている。もっとも、これは野党や他の歴代総理・中選挙区制時代の自民党内の派閥闘争でも似たようなことが起きていたため、超ウルトラハイパー長期政権のもとではウンザリする国民が出てくるのは、想像に容易いだろう。

 

 それでは、なぜ野党や他の与党議員・閣僚を支持しようという風が吹かないのかと言うと、もちろん、政府による情報操作の疑惑もあるだろう。しかし何より、少し前の総理大臣を知っていれば分かる通り、現在の安倍首相も含めて、1年単位でコロコロと総理が入れ替わる事態(第1時安倍→福田→麻生→鳩山由→菅→野田)を国民が嫌なほど理解していることに加え、政権交代による当時の民主党政権に期待したものの、思うような成果を得られずに不評を買ったことや、東日本大震災が発生した時の政府の不手際を不快に感じる有権者が根強く存在するため「だったらこのまま安倍首相の下でやった方がマシだよね」という考えである。

 

 全体構想も何も無く、ただその場のノリで国民を奈落の底に突き落とすことだけはしっかりしているのを見ると、これは国民性なんだろうなぁ。。

 

予想(3) 与野党そろってプロレスラー()

agora-web.jp

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 いわゆる自民党のセンセイ方にも言える話だが、政治的議論の前に「今日はどんな風にして野党をガス抜きしようかな♪」みたいに考える国会対策委員会の存在があること。タイムリーな話だが、いわゆる野党のセンセイ方が犯した質問通告問題などからして、結局は与野党どちらもプロレス状態であり、実質的に機能不全となっている。野党も二重規範など辞めてしっかりしろよと言いたくなるが、ガス抜き役の与党も「どうせ有権者(謎笑)は無能な野党だってのをPRしとけばOK」みたいに考えているのを見ると、実に似たもの同士であり、残念な話である。

 

予想(4) 世代間の価値観対立

 保守 vs 革新なんて言葉があるものの、今の総理はガチのリベラリストであり、いわゆる「右派≠保守≠新しいモノ好き」という構図。常に変化を求める国民が一定数いる以上、安倍首相に期待を寄せる人も相応に存在する。

 

 保守的な論調と言われる産経新聞も、確かに国粋主義的なコラムや意見は目立つものの、全体的な傾向としては、寧ろ開放的で新しいモノ好き。逆に改革派と言われてきた朝日新聞がやたらと保守的になるなど、もはや昭和に見られた冷戦の考えなど、遙か昔の時代遅れな発想である。

 

 こうした時代の転換がスムーズに進まないことに憤りを覚え、新しいモノ好きな今の総理なら改革が進んでいくという期待感も、相応に支持されている理由の一つにあるのだろう。お隣の中国では共産国でありながらも最先端技術を駆使した、実質AI国家みたいになっているのに対し、日本は戦後の経済大国など名ばかりであり、いつまでも老害や権威ぶった連中らがイスにしがみついているため、改革を求める「新世代」が反発するのも頷ける。いや、私も世の中変わって欲しいなぁとは思うんだけど。

 

予想(4-1) 圧倒的な「有権者」を誇る高齢者層

 国会中継や昼間のワイドショーをダラダラと見たり、新聞に書いてあるプロレス記事を真に受けてキーッ!と頭に来ている「高齢者層」がたくさん存在する。このどこが問題なのかというと、いわゆる国民が選挙に行ける年齢(18歳~)を世代別に比較した時、どうしても「若者たち」(定義:18~39歳)で考えると、「若者たち」が全員投票に行ったところで、40代以上のオッサンオバサン年寄りには勝てないからだ

 

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日本国における人口ピラミッド(2017年10月1日現在・統計局HPより引用)

 

 なので私は、事実であるにしても権威ぶった年寄りが「若者よ、選挙に行け~」と叫ぶの、正直苦手。それをした所で「若者たち」には勝ち目が無いからだ。こうした歪な逆ピラミッド構造のもとで選挙をしても、本当に感情論だけで野党に入れて政権交代なんてのは、考えるだけで困難である。一票の格差を根本的に解消するなら、せめて完全な比例代表制にするか、世代ごとの一票の格差是正(例:50代以上は3人で1票)みたいな政策にしない限り、ムリな話だろう。

 

 念のためだが、私は選挙制度そのものは民主主義の礎であり、絶対に無くしてはならない。見直しが必要と考える程度である(って、コレは総理の進退問題とは関係ない話でしたな……閑話休題

 

予想(5) それぞれが持つ「アキレス腱」

 正直、一介の読者にしたら実にくだらない話になるが、この前の「桜を見る会」の話も、単に人数集めの手法に問題があったという程度で、それ如きで足を引っ張るのもどうかいなと思う。世論調査を行ってもビクとも反応しないのは、結局のところ、政局ではなく「政策」を国民が見ているからに他ならない

 

 一方で、たとえどのようなセンセイ方であれ、様々な支援団体や地方の後援会などに根回しをする以上、100%クリーンで純白な政治家になるのは、ある種、とても難しい話。当選するには支援者の力を借りる代わりに、自分が抱く政治理念を多少曲げなければならない場合もあり、なかなか自分の思うような政治はし辛いことも考えておく必要はあるだろう。

 

 昔みたいに金満政治が蔓延していた頃はカネ汚いという印象だったが、最近はそうした型にハマった議員は殆ど見かけることはない。代わりに「合法だけど、人としてはどうなの?」みたいな小さい話ならチラホラと聞こえる。これは実際の有権者(≒国民)一人ひとりで価値観が異なるため、どうしても差異によるポジショントークが発生しうる環境になりやすい面もあることを理解しておきたい。

 

 どのような議員であれ、追及をする側にも様々な落ち度があり、それ以上ツッコんだら逆ツッコミを受け、自分が「ボケ」役に回ってしまう展開になり得る。あくまでも「個人の価値観程度の話」なら、ワイドショーで賛否両論gdgd芸能ニュースで盛り上がる程度のモノとして捉え、寛容的になってもいいのではないかと思う

 

まとめ。

 安倍首相の超ウルトラハイパー長期政権が出来ている理由。

 

  • 熱心な支持者とアンチが激しく争うことで、何となく異論が言いづらい空気を作っている。
  • 今井補佐官など、安倍首相のタフな政治手法を軽々とこなせる人が側近として居るから。
  • 敵不在(と思われている)ため、多少怠けても問題ないし、寧ろ、ワザと落ち度のある話をリークすることで、国民からツッコまれることを楽しんでいるようにも見える(例「桜を見る会」「もりかけ騒動」)。
  • 森ゆう子さんの問題から浮上した「国会対策委員会」の在り方をめぐり、いわゆる与野党(+朝日 vs 読売)といった、分かりやすい敵味方関係を「演出」してるだけであり、実質的に「オール与党」。あと一歩すれば大政翼賛会待ったなし。
  • 「日本国」政府のグランドデザインがなく、単にその場のノリで政策を決めることに誰も文句を言わない(「美しい国へ・新しい国へ」も多分、現状では封印しているのでは?)。
  • 第1次安倍内閣を含め、小泉政権後の歴代総理が1年単位で交代したことへのトラウマ+旧・民主党政権で裏切られたことへの失望。
  • 旧・民主党政権で起きた東日本大震災発生時の政府の不手際と、取り返しのつかない経済損失で失望。
  • 総理も含め、誰もが「自分の中のアキレス腱」を抱いているため、内向き引っ込み思案になりがちで、下手に反論できない。
  • 総理官邸があまりに強すぎるため、下手すると「自民党」という組織自体、不要と考えているフシさえ見える。
  • マスコミへの圧力もある一方、マスコミもまた、国会・総理官邸・各省庁の記者クラブの中で取材をさせてもらっているため、迂闊にアレコレ言うと、読者・視聴者からダブルスタンダードと思われる(結果、読売・産経も含め、政策議論よりも「事なかれ主義」が蔓延する)。
  • 平成時代から続く「失われた○○年」を引きずっている。危機感を抱いた団塊Jr~ロスジェネ・大人になったゆとりが政治体制の見直しを叫ぶも、圧倒的に有権者が多いのは「新聞慣れした高齢者」であるため、実質的に選挙権がないも同然。

 

 では、安倍首相はいつ辞任するのかって話だが、そもそもそんなことを考えること自体が無駄である。自民党内で物凄い大喧嘩が起きたりしない限り、恐らく気が向いた時に引退の道を考えるのでは?

 

 デカい声で「安倍やめろー」と言われれば言われるほど、総理にしたら「アンチ乙www」となるし、逆に安倍首相を応援してくれる人が居るなら、適度な距離でお付き合いをしていけばいいだけの話。恐らく、在職期間ということなど殆ど考えていないと思うのだが、どうでしょう?

 

 私は安倍首相だけの問題ではなく、与野党・官僚・企業・経済・国際問題……色々な問題が複雑に絡み合って現在の超ウルトラハイパー長期政権が維持できていると見ている。ただ、国としてのグランドデザインが何も無く、橋本政権時代から続く構造改革路線をどこまでやり続けて、国が痩せ細ってしまうことの方が遙かに憂う