そらマメさん鉄道局・流通局

ココでは新聞の流通考察・鉄道旅行話などを。

今年一年を振り返る2019(2) 増税に振り回された新聞業界

 12月30日昼11時からは、TBS系列で「報道の日」という長時間報道番組が放送される。ココではそうした報道の重要性(報道記者がみたニュースの検証)ではなく、その報道が記された印刷物を宅配する立場の話である。

 

 

購読料値上げ

 今年は何と言っても、消費税引き上げに伴う軽減税率の適用をめぐり、新聞社ごとに対応が分かれたのが印象的だった。在福メディアで増税に伴う購読料改定の是非」を一覧にまとめると、このような展開になった。

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新聞社ごとに対応が分かれた。

 月極め購読料金(朝夕セットで宅配してもらう新聞)は、読売新聞グループが今年の元旦から4,400円に引き上げ、地元紙の西日本新聞社もそれに追従している(正確に言えば、その前からも日本経済新聞が先立って値上げに踏み切っている)

 

 読売新聞の場合は、最初から軽減税率適用の旗振り役として増税に肯定的だったため、増税+軽減税率適用後にどの程度の客が減るのかを事前に何度もシミュレーションを行っていたとみている。結果的に値上げした当時は満額40pの状態が続いたが、途中からページ数見直しに舵を切り、現在では満額40pに達する機会は大きく減っている。とはいえ、最初からそれを見越した編集体制(配達困難地域へのネット配信によるセーフティーネットの拡充など)を採っていることから、値上げに伴う品質保持はしっかり出来ているように見えた。

 

 地元紙の西日本新聞は、基本的には読売新聞の動向に随従した形となった。こちらも購読料改定で客離れが起きる危機感があったことから、日曜日に限定する形で西スポの無償添付を行ったり、セーフティーネットの電子版登録をした客相手にプレゼント企画を実施するなど、比較的余裕があるうちに増税対策を行っていたのが印象的だった。

 

 いわゆる「早い内にやっとけば、後々困らない」という類だが、他の新聞社も遠慮無く追従すれば、いわゆる増税を狙った便乗値上げと勘違いされる恐れがある。せっかく軽減税率適用となったのに、ランニングコスト上昇や朝刊配達が壊滅状態にある状況でそうした努力が相殺されてしまうため、やはりどこかで値上げするしかない。でも、ヘタに値上げに踏み切ると、今度は様々な形で新聞社の経営を直撃してしまう。そのため、読売・西日本が早々と値上げに踏み切った一方で、他の新聞は最後の最後まで慎重に判断し、結果として「定期購読は据え置きするが、一部売りは10円程度引き上げ」でごまかしている。

 

www.sentaku.co.jp

値上げはしたものの、購読者数の低下は「割と限定的」

 意外な話だが「新聞の購読料が値上がりします!」という話が出たとき、ネット上ではお決まり文句で「新聞オワコン」を大きく持ち上げるのがお約束となっているが、リアルでは「ああ、そうですか。じゃあ、明日も楽しみに待っとりますけんね~」みたいなノリで対応する客ばかりだった。つまり、値上げ+増税に伴って客が減ることは、単なる配達の身分でしかない私も覚悟はしていたが、蓋を開ければ

 

  • それまでは夕刊も取っていた家が朝刊のみに移行
  • そもそも値上がりしたのを知らない(別に気にしない)
  • 元々が年寄りばかりの地域なので、配達員に会えるだけでも幸せと思ってる読者もいること(値上げが原因で解約すると、その機会が無くなるため)
  • せいぜい朝刊全体でも5部程度しか減ってない。

 

 という結果となり、購読料改定でお賃金値上げにも貢献したことから、結果としてはプラスの方向に転じたと考えて良い。但し、それは配達員不足の現場にしてみれば、配達に対する実質負担が増加していることの裏返しでもあるため、やはりこの状況がいつまでも続くとは考えにくい。

 

夕刊配達部数の減少

 一方で、夕刊の購読者がメッキリと減ったのは手応えを感じていた。自分が5年前に入社した時は55部以上もあったが、徐々に部数を減らしていき、現在は僅か30部。専ら「空気輸送」そのものであり、こうしたセット割れが起きている状況下では、発行すればするほど赤字になるのが目に見えている。配達員確保を理由にサッサと統合化するか、中国新聞SELECTみたいに早朝一回配達にすりゃエエのにと思うところだが、取材記者や営業の人たちはまんざらではない様子。

 

 夕刊も速報性を無視した新聞社が出始め、中曽根康弘元首相の死去に伴う後追い報道の時ですら、そうした話をほぼ放棄していた新聞社もあったぐらいである(翌日の朝刊で改めて詳細に報道)。版立ての概念がほぼ「最終版固定」になりつつある在福メディアなので、今後は印刷時間の更なる見直しや、ページ数の削減・朝刊のコラムを夕刊に移動(逆パターンもあり)などをして、専ら速報性をガン無視した読書ツールに転換していくモノとみられる(出来るだけ夕刊廃止は回避)

 

カンフル剤の効果があるのも来年までか?

 来年は東京オリンピックパラリンピックが開催されるため、大会期間中の9月頃までは五輪特需で紙の需要はあるとみている。しかし、それが終わると、その先は特に大きなイベントはしばらくない。大阪万博世界水泳福岡などもあるが、基本的には現状水準と比較しても、取材範囲の縮小化や購読料の更なる引き上げなどが想定されるため、やはり先行きは暗い。

 

 カンフル剤を打つことで、ジャーナリズムと並行してブームに乗っかった紙面編集が出来ていた側面があったため、それが無くなる来年以降(五輪大会終了後)、一気に現実に放り出されて、迷走記者がウジャウジャと湧き出てくるシチュエーションが有り得そうだ。

 

まとめ。

 まあ、こんなことをあーだこーだ言いながらも、宅配制度は何らかの形で存続していく。今よりかは確実に縮小するが、決してゼロになってしまうことは、当面ない。なので自分の場合は、ただただ目の前の新聞を配るという、基本的なことだけに集中するのが一番である。

 

 ……と言うことをこの前も言ったような気が。。