そらマメさん鉄道局・流通局

ココでは新聞の流通考察・鉄道旅行話などを。

チラシが全く入らなかった日

 土曜日は折り込みチラシが全く入らず、日曜日に辛うじて3枚チラシが入った。それ以外でも、緊急事態宣言が発動された今月7日から徐々にチラシが減り始め、ココ最近はチラシが1枚入るか入らないかの瀬戸際に立たされている。感染者数の累計は、2週間前のデータが徐々に反映される仕組みであるため、絶対に5月7日で緊急事態が解除されるはずがなく、最低でも1~3ヶ月、遅くても1~2年は掛かる見通し。

 なぜ折り込みチラシの話をするのか。この状況が今後も続けば、新聞販売店が倒産ラッシュになるということ

 新聞販売店は新聞社のフランチャイズ店に過ぎず、新聞購読料金のうち、店と新聞社がほぼ折半になる形でペイを分ける。新聞社ごとにロイヤリティの分配は異なるが、概ね半々とされている。セット料金であれば4,400円/月なので、単純に半分で分けるなら2,200円/月が店の収入になる。

 その地域の販売店が毎月1,500部仕入れるとすれば、2,200円×1,500部=330万円を得るが、330万円では配達に掛かる費用や予備紙の処分なども重なり、到底維持できない。そこで、チラシ収入で賄う。チラシの場合も地域によって差はあるが、スポンサーからの出資が1件につき1枚2円程度とすれば、その地域に差し込むチラシの枚数が1,500枚だと、1件当たり3,000円が別途入ってくるため、折り込みチラシが多ければ多いほど、お店も繁盛するという仕組みである

 これが戸別宅配を維持できる新聞社とFC店の「WIN-WINの法則」だったが、チラシが1枚程度しか入らなければ店の収入も雀の涙程度しかならず、経費が圧迫されて倒産してしまう。すると、

  1. その販売店で扱っていた新聞の発行部数が消滅するため、「契約者数」ではなく「発行部数」でカウントしている新聞社にすれば、大きなダメージになる。
  2. 発行部数が少なければ少ないほど、スポンサーは広告出稿を控えるようになり、新聞社そのものの経営が傾く。
  3. 今までならページ数削減やレイアウト調整などで乗り切れたが、いきなり緊急事態宣言が出たことで、スポンサーとしても下手に広告を出せなくなり、唐突キャンセルが連発。
  4. 1~2枚しか入らず、最悪、全く入らなくなれば、奈落の底へまっしぐら。新聞の銘柄問わないので、地方紙・全国紙関係なく、一斉に新聞の供給が止まる。
  5. 今までは単にFC店側の問題程度で片付いていたが、販売店問わずに連鎖的に閉店となれば、たった一ヶ月で軽く300~500万部が消える。弱小新聞社はスグにでも倒産し、中堅・大手新聞社でも1年は持たない。
  6. 自分のように新聞配達だけで月10万近くも稼いでいる人にしたら、いきなりその収入が途絶えてしまうため、経済的に大混乱。また、FC店の補償もないことが多いため、FC店を経営していた社員までもが路頭に迷う。

 新聞社と販売店は、良くも悪くも二人三脚の形で新聞を流通し、色々と販売店と問題は起きたとしても戸別宅配制度を維持することが出来た。しかし、今回は日本政府の唐突な強権発動で、無理やり経済をストップさせてしまったため、済し崩し的に販売店を直撃しており、一斉閉店が続けば、戸別宅配制度の重要性など、一瞬で灰になってしまう。

 考えられる案としては、

  1. 戸別宅配をどうしても固執する場合は、FCとなる販売店の負担額を減らす(新聞社はジャーナリズムは維持しつつ、違う場所で稼ぐ)
  2. 広域配達を前提としつつも「配達不能地域」を定めて、統廃合。配達不能エリアはネット配信で代替することを義務化。
  3. 諦めて転職

 のどれかになるが、「3」は単に配達員の問題でどうにか乗り切れるものの、「1と2」は昭和時代から続くレガシーなシステムの維持を強引に進めたところで、新聞社・販売店どちらも溺死に近い体力戦になるだけなので、やはり維持は困難だろう。

 「新しい未知のウイルスが世界を変える」とはよく言ったもんだが、まさか新聞業界の構造そのものが変化する可能性も秘めているとは。いやはや。今後どうなっていくのだろう?