現在の筑肥線は姪浜駅からスタートしているが、かつては博多駅から南区・城南区・早良区を経由するルートを辿っていた。当該区間は福岡市地下鉄空港線にバトンタッチする形で廃止され、地下鉄の整備に合わせて姪浜駅~唐津・西唐津駅も電化されている。
お役御免になった博多~姪浜の旧・国鉄筑肥線は福岡市の手によって道路化され、鉄道があったことを示すモニュメントなども消滅してしまったため、過去の筑肥線を知る者でない限りは跡地を探し出すのは困難だろう。
現在の西区に相当する箇所には西新駅が設置されており、一応は西新地区の最寄り駅となっていた。といっても、実際の西新からは1km近くも離れており、安易に国鉄駅へアクセス出来る場所では無かった様子。
廃止された後の西新駅にファミマがあるという情報を掴んだため、例のファミマめぐりをする傍らで駅跡に向かってみた。
~人生という名のカレンダーに、新たな誕生日が刻まれる。~
廃線後の西新駅は、JR九州の不動産物件に変わっている
当初から駅舎の跡地は国鉄→JR九州の不動産物件として資材置き場のような形で残されていたという。廃線後は道路整備されたものの、駅跡のスペースに関しては後にJR九州の「本業」とも言える不動産投資で開拓を進め、JR九州リテール所轄のam/pm(現在のファミリーマート)・ドラッグイレブン(旧・JR九州グループ、現在はツルハグループ)・RJRプレシア高取などを誘致し、ビジネスに転換させている。
線路跡を眺める
西新駅の奥にそびえ立ち、特徴的な模様をした例の団地は、九州電力の社宅として建てられたもの。現在でも一部形状を見直しつつも普通に続投している。
なお、RJRプレシア高取の反対側には、JR九州社員が住み込む社宅が設けられており、他の団地やRJR以上にフェンスで覆われていることから、普通の人は出入り禁止になっている。
変わり果てて、何が何だかさっぱり
線路跡の北側に別の福岡市道が不自然に整備されていることから、この地に国鉄が通っていたというのは間違いない。ただ、指摘されなきゃ分からないってのが今の世代(謎)の主観的な思いで、JR九州の小売業・不動産業があるからといって、必ずしもそこがJR九州グループと接点のある場所とは限らないのも事実。
何かしら国鉄西新駅があったことを示すモニュメントがあれば、その思いを偲ばせることは出来るだろうが、まあ、パッと見「普通にファミマがあるだけじゃん」で終わってしまう。世代間における歴史の継承は、難しい。