熊本県内で流通している交通系ICカードで、熊本電気鉄道(鉄道・路線バス)や熊本県内のバス事業者(九州産交グループ・熊本都市バス・熊本バス)・熊本市電(路面電車)で利用できる。「熊本地域振興ICカード」という名称が一般的だが、一般的には熊本県のマスコットキャラである「くまモン」にあやかり、「くまモンのICカード」と呼ばれることが多い。
カードのデザイン
表面には熊本県内の主要観光地(阿蘇山・熊本市内・熊本城・崎津天主堂)に、くまモン・路線バス・市電が描かれている。かつてはくまモンのシルエットが描かれており、それを6色に分けて限定販売していたが、今回私が入手したICカードは、上述のデザインになっていた。
裏面のICカード番号は、熊本地域振興ICカードを示す「KM」から始まる16ケタの番号が刻まれている。他の鉄道事業者が発行する交通系ICカードと異なり、くまモンICカードは熊本市に本社を置く肥後銀行のカード会社が主体となって発行しているため、連絡先も肥銀関連会社となっている。
旧・磁気券の継承を巡って誕生したカード
fuwafuwaame.hatenablog.com↑の「N+カード」の話も参照。
くまモンのICカードが出てくる前までは、「TO熊カード」と呼ばれる磁気券が発売されており、現在のICカードとほぼ同範囲での利用が可能だった。磁気券式カードリーダーの更新を巡って、JR・西鉄系の全国共通の道を選ぶか、もしくは熊本県内での利用に限定したモノにするかで揉めた結果、熊本市電はnimocaを採用したが、他は独自の道を歩むことになった。まさに、長崎県の事例と同じである。
一応はくまモンのICカードでもお買い物は可能だが、県内の指定された小売店程度しか利用できず、JR線にあるエキナカや自販機、コンビニなどでは全く使えない。相互利用も片方向(全国共通ICカードでくまモンICカード利用可能な乗りもの)に限定され、互換性は市電以外、皆無である。
実際に熊電に乗ってみた
JR線での利用が全くできないため、購入したその日のうちに出来るだけ使い切ろうと考案。昨日、上熊本駅まで向かった後、熊電を利用して最北の御代志駅を目指してみた。
無記名式であれば熊電の車内でも購入が可能で、アクティベーションが完了すれば、その地点で利用開始となる。熊本電鉄は下車時に運賃を直接支払う仕組みになっているが、くまモンのICカードの場合は、各駅に設置されている入場用のカードリーダーにタッチし、出場は車内の運賃箱に設置されたカードリーダーにタッチする。
上熊本駅から乗車し、途中、北熊本駅で乗り換えた後に更に北上。最北端となる御代志駅へは、約30分程度の所要時間が掛かる。熊電も以前はココから更に延伸し、現在の菊池市中心部まで乗り入れしていたらしいが、自動車交通に適わずに廃止。この駅も再開発事業でやや南側に移動する予定となっており、移設前の御代志駅に来れただけでもハッピーだったかもしれない。
感想
片方向利用(全国共通ICカードで熊電利用)が出来るだけでもマシな方だが、やはり独自のICカードを作って利便性をやや犠牲にさせている印象は拒めない。あくまでも熊電や県内の路線バスのみの利用に限定すれば、このカードは威力を発揮すると考える。