【2021年1月1日付からの紙面構成】
- 月極め価格は、現行の3,500円に共通化する形で見直し(現在は朝刊のみが3,086円、セットが3,877円)。
- リニューアル後は地域面の拡充・天気コーナーの面積拡大・オピニオン面の強化・カレンダー面の掲載などを図る。
高知県の県紙である「高知新聞」が、12月25日を以て夕刊の発行を取りやめる。翌1月1日からは夕刊の一部要素の引き継ぎやレイアウトの見直しを経て、統合化された朝刊専売紙を流通する方針。
高知新聞といえば夕刊の供給がかなり高い土地柄で、朝刊が約15.4万部なのに対し、夕刊が約9.6万部と、約7割近いセット率を誇っている。残紙も少なからずあったとしても、多くの世帯で夕刊を併読しているのは驚きである。
変更後も紙面重視の構成を貫く方針で、他紙にありがちなネット配信との融合を求める手法とは距離を置く。
夕刊が廃止される法則
今年は地方紙の休刊が5銘柄も発生した(東奥・山陽・徳島・高知・大分合同)。これらに共通することとして、
- 全国紙の夕刊が存在しない(統合版が流通)。
- 慢性的配達員不足と、農村部を中心に担い手が不在になっており、宅配サービス業として成立しない。
- 人口が多い都心部であっても、夕刊の契約をしない朝刊単独のみの契約が多く、セット割れが酷い状態で無理して発行しても、発行費や配達コストの面で十分にペイできるとは言えない。
- 「なら、朝夕完全連続紙にすれば、夕刊は確実に流通するよね~」と楽観視していた地域も、上述の配達困難地域を多数抱えていることに対処できず、結局は1回配達にせざるを得なくなる。
などが挙げられる。
(参考)ツイ主の意見:
今年中に夕刊が休刊になる県紙が5紙になったが、共通するのは「県内では他紙全て統合版」と言う点。夕刊需要の減退と言うより配達に関わる労務難が理由ではないかな…。
— 野江乃絵@横浜新聞研究所@次回はガンジツスゴクオモイシンブンのち1月文フリ京都 (@noenoe_toyama) 2020年12月11日
逆に言うと複数紙がセット版を続けている地域だとそれぞれが「何時になったらセット体制を止めるのか」と言う探り合いのチキンレースをしているようなものか。特に静岡・北國・北陸中日・西日本あたり。
— 野江乃絵@横浜新聞研究所@次回はガンジツスゴクオモイシンブンのち1月文フリ京都 (@noenoe_toyama) 2020年12月11日
業務連絡 2020.3 朝夕刊セット率
— 文筆業・小林潤一郎 (@junkoba1153) 2020年10月1日
東奥 98.0 ※8月末休刊
新潟 8.7
北國 14.5
信濃毎日 7.0
静岡 100.0
京都 40.5
神戸 29.7
山陽 7.9 ※11月末休刊予定
徳島 13.5 ※3月末休刊
高知 62.6
熊本日日 11.1
大分合同 100.0 ※3月末休刊https://t.co/xJl2nw91hG
セット割れが極端に酷い地域であっても、別の収入源があったり伝統を守るという意味で夕刊を発行し続けている新聞社もあるが、そうしている間にも人口減少は加速し、戸別宅配制度もますます維持が難しくなって悪循環に陥るだけ。
多くの新聞社が「どこかで線引きをしないと」と理解していても、読者の声に応えるべく渋々発行をし続けている限り、もはや体力戦にしか見えない。報道と紙媒体の流通をしっかりと現代社会にアップデート出来るのか。2021年以降の課題である。