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朝日新聞社、記者にも "自爆営業" 要請へ

toyokeizai.net 福利厚生の一環から、それまで朝日新聞の記者(本社・支社・支局問わず)であれば、同社の新聞購読を無料化していたものを取りやめ、実費負担に変更するというもの(念のためだが、朝夕刊セットは4,037円・統合版は3,093円となっており、いずれも軽減税率適用で本体価格の値上げを回避している)

 記事の中では「購読は義務ではないが、取りやめる場合は会社に一言伝えて」と書いてあるが、実際には社内の同調圧力で取らざるを得ないだろう。また、朝日新聞を扱う一部の専売店では、自爆営業が普通に行われている可能性もあり、状況によっては新聞社が全店舗に自爆営業をするよう、何らかの号令・忖度をさせる懸念もある。コレでは朝日新聞の論調以前の話、そもそも、なぜ紙媒体を刷っているのかという話になってくる。

 記事ではデジタル部署への異動も話題になっているが、日本の新聞社は紙媒体を印刷し、それを販売店経由で宅配させ、ロイヤリティーを販売店から徴収。その不足分をチラシ収入で賄わせることで宅配ビジネスが成り立っている。デジタルメディアのノウハウが身についていない日本の新聞社が、ネット配信で上手く行くかと言ったら、多分、無理。上手くいってるのもせいぜい後述の日経ぐらいなものだから、電子版で朝日新聞のニュースを有料配信するだけのビジネスモデルを作るのは、机上の空論だろう。有料ネット配信で飯が食えてるのは、有名な所ではアメリカのニューヨーク・タイムズ程度。

www.asahi.com 日本の場合は、単に上層部がネットに険悪感を抱いている(それ以前に使い切れない)という問題もあるが、一番の理由は宅配ビジネスが事実上崩壊し、店を維持できない程の配達員不足やチラシ収入、残紙の処分を巡る問題、発行部数の減少に伴い、紙面広告が読者層が年配・一部の思想家に偏ったモノ(通販・健康食品・売らんかな系の書籍など)しか掲載できずに広告収入が脆弱化していることなどが挙げられる。紙媒体で宅配することこそ日本の新聞の強みである説も、もはや遠い過去の媒体と認識されていながらも、いきなりそのビジネスを変えることも出来ず、どの新聞社もそれに苦悩している様子が窺える。

 もちろん、紙媒体ならではの魅力もたくさんあるため、ネット万能性を100%支持する訳ではないが、さすがにココまで時代が進歩し、読者のニーズも、必要に応じてPC・スマートフォンなどから閲覧して情報を得る仕組みが確立された以上、いい加減に気付こうよ。。

 他国ではGoogleなどの検索サイトからニュースサイトを開こうとする場合、事前に運営サイトどうしでニュースサイトを無料で閲覧できないように取り決めを行っているが、日本は紙媒体の宅配などで得た収益を活用して検索サイト・ポータルサイト横流しをしているため、自社の儲けが殆どなく、紙媒体の定期購読をお願いするための見本紙と変わらない。単なるPV稼ぎである。

 だとすれば、朝日に限らず、読売や毎日・産経・地方紙といった所も、検索・ポータルサイトにニュース配信といった仕組みから脱却し、

  • 原点に帰って、紙媒体の配達のみに固執する(新聞協会に加盟する新聞社・通信社・民放各社・NHKなど)。
  • もしくはネット配信専用のサブスクリプションを構築し、ポータルサイトからの撤退と、検索サイトで有料記事へ誘導するような公平性を重視した上で、有料電子版の購読に潔く転換する。

 このどちらかをエンドユーザーに求める必要があるのでは?俺は後者がいいけど、そうすると印刷屋や販売店が維持できないし、基本的に日本人は前例主義を強く求める傾向があるため、業界がやるなら前者だろうな。

 ちなみに、日本経済新聞も発行部数が右肩下がりで危機感を抱いてはいるものの、こちらは経済紙という性格上、リアルタイムに情報を有料配信する方が得策であるということから、有料会員への移行がそれなりに上手く行ってると聞く。ただ、企業にいる営業課のおっさん辺りなどは、「やっぱ紙じゃないと相手に伝わらんもんね」みたいな感じで紙媒体を重宝しており、結局は印刷屋・委託販売の維持も含めて紙媒体を発行し続けていくとみている。

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ホントに脱・紙媒体を狙うなら、KIOSKのタケノコ積みも「死文化」になるはず。まだまだ紙媒体は現存するだろう。