そらマメさん鉄道局・流通局

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山口県区間の山陽線、第3セクター降格とICOCA導入白紙、どっちが先か?

 他社線の在来線や民鉄が乗り放題になる、九州島向けの例のきっぷで下関駅まで来たあと、そこからJR西日本山陽本線をブラッと乗車してみた。今回は小月駅まで向かったが、目的は途中にある長府・小月の2駅にあるMV50導入観察のため。

小月駅

 小月駅は今年の2月28日でみどりの窓口が廃止され、翌日からはMV50(アシストマルス非対応)に変更された。窓口が廃止されたとは言え、普通に駅員は駐在しているため、完全無人化とはなっていない。

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窓口は巨大な「謎の壁」で覆われているが、裏側にはちゃんと駅員が滞在し、改札業務を行っている。

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以前あった通常の近距離券売機を撤去し、その部分にMV50を導入。

 気になるのは小月駅から東側の山陽本線。全てのJR線・新幹線がCOVID19蔓延に伴う緊急事態宣言・蔓延防止対策を理由とした減収減益が酷いことから、今年3月のJRダイヤ大幅見直しで、各社揃って大減便となっている。

 特にJR西日本管内ではその減り幅が異様に大きく、岩国駅より西側の山陽本線に関しては、それまでの30~40分間隔から、60~80分間隔に間引き運転するように見直されている。運行間隔が短い列車でも、大抵は下関市内にある小月駅で折り返し運転となっており、以前のようにチョッと待機すれば、新山口・徳山・岩国へ向かえる状況では無くなった。

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40分間隔でもそれなりに客はいるのに、ムリして1時間以上も間引き。さすがにソレは。。

 間引きによる実質減便が強化される一方で、e5489経由の直前割を継続発売(事前予約で最大50%割引・2人縛り解除・こだま or ひかり限定)することで、貧弱な山口県区間の移動をアシストしている。

 「夏の18きっぷの時は、コレを使えば山口県区間をすっ飛ばせる」という、大胆なJR西日本のサービスという見方も出来るが、逆説的に考えれば、元々が空気輸送になりやすい山口県区間山陽本線は、JR西日本にしてみれば「一刻も早く廃線(貨物専用化)か、第3セクターに譲渡したい」という本音も、薄らと滲み出ている。夏の18きっぷ導入時には更に間引きして、岩国~小月のデータイム運行を取りやめる、といった極端なダイヤになる可能性も否定できまい。

 廃線または3セク譲渡の可能性も仮説理論として考えられる一方で、最も現実味を覚えるのはICOCA導入の白紙・延期」ではないかとみている。JR線に並行する路線バスでは、山口県の支援も重なってシームレスに交通系ICカードの導入が進んだが、在来線の方では今後もCOVID19蔓延を理由とした大減便が確実に起こる(JR西日本も公言済み)。

 そうなれば、一度は協議の末で、山口県の負担で導入することが決まったICOCAの岩国延伸も白紙に戻す恐れもある。「どうしてもICOCAを導入する場合、山口県側が山陽線山口線の一部・山陰線の一部を保有する第3セクター方式の鉄道会社を設立するなら、ICOCA導入を考える」みたいな捻くれた考えをしてしまうのは、どこかしら廃線の危機を覚えるからだろう。

長府駅

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長府駅も窓口廃止(改札業務は継続)。隣にあったKIOSK鞍替えセブンイレブンも閉店。

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MV50導入後の券売機。競艇が近くにあるからって、容赦しない。

 長府駅も小月と同様、2月末で窓口営業が終了し、3月1日からMV50が稼働している。ココも以前まで存在した近距離券売機を取り外し、その部分にMV50を置き換えている。また、KIOSK鞍替えセブンイレブンも廃止され、有人改札が残っている以外ではサービスが大幅に低下している。

MV50に入場券スイッチはあるか?

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訪問地点では入場券スイッチが無力化。

 「MV50で入場券を買えるか?」という最大の疑問だが、小月・長府ともに入場券発売ボタンは無力化されており、エドモンソンきっぷのみの対応となる。元々、岩国・柳井・シティネットワーク管内でも、客の出入りが多い駅を除けば入場券スイッチが無力化されていたため、それに追従しただけと言える。山口支社管内でMV50入場券を購入できるのは、新幹線駅、もしくはソレと併設している駅だけと言えそうだ。

ムリは言えないが、やはりコレが現実なのだろう。

 一向に回復の見通しが付かないCOVID19の流行。政府主導の蔓延防止もあまり効果を得ているとは言いきれず、かといってテレワークによる分散作業も一部に限られることから、この手法にも限界がある。また、JR西日本は元々、京阪神・新幹線で激しい競争関係にある一方で、地方路線を中心に膨大な赤字路線を抱えていることから、東日本・東海のような安定した鉄道収益が見込めず、決して経営基盤は宜しくない(不動産事業などで凌いでいるようなもの)。そこにCOVID19蔓延による経済大打撃が加わるものだから、更なる徹底した減便を加速させるしか手段がない。

 西日本側も安易な路線廃止は避けたいという思惑はあると思うが、ココまでして削減強化・場合によっては廃線3セク譲渡も検討しないといけない以上、相当苦しいことが窺える。なので、ムリは言えない。

 となると、今以上に名前が同じ「西日本」の方に依存するしか手段が無くなっていくんだろうな……。