熊本県の県紙である熊本日日新聞が、9月30日付を以て夕刊の発行を取りやめる。翌10月1日からは夕刊の一部要素を引き継ぎ、朝刊専売紙を流通する方針。
【2021年10月1日付からの紙面構成】
- 月極め価格は、現行の3,400円で共通化(現在はセット版が3,838円、朝刊のみが3,400円)。
- 10月1日付以降は電子版の拡充を図る。
元々、熊日の夕刊は熊本市を軸とした熊本都市圏に限定されており、荒尾・玉名・山鹿といった県北地域や、人吉・球磨エリアなどの遠方地では夕刊の配達を行っていなかったとされる。記事の中身も、熊本の郷土話が一部である以外、殆ど共同通信の記事に依存し、一部売りの価格も60円で僅か8ページに留まるなど、「興味のある人」相手に取りあえず発行していた感があった。
九州で夕刊を発行しているの、福岡県だけに
熊日の夕刊撤退に伴い、九州で夕刊を発行・配達しているのは福岡県だけになる。全てセット体制を維持した状態で値上げに踏み切っているものの、年を重ねるごとに夕刊の発売部数は激減傾向にある。
夕刊の発行を止めないのは、単に在福5紙が競合関係にあり、セット体制を廃止するよりも値上げで維持した方がまだ収益が確保できることと、相応の読者を抱えていること、お付き合い程度で無理して発行しているところが大きい(単なるチキンレースという見方もある)。
仮に在福が夕刊を取りやめるにしても、希望者に限り第2部体制の新聞を翌日の朝刊として配達する、みたいな奥の手もある(中国新聞SELECTっぽいモノ)ので、直ぐさま統合化される可能性は低い。値上げした上でセット体制を維持する以上、唐突に夕刊廃止に踏み切らず、せいぜいあと4~5年程度は維持するだろう。