そらマメさん鉄道局・流通局

ココでは新聞の流通考察・鉄道旅行話などを。

日経電子版が迷走しているらしい。

ゆっくり霊夢です!魔理沙だぜ!

霊夢日本経済新聞が電子版を出したおかげで、電車で通勤する時に新聞紙を広げなくて済むようになったわ。

魔理沙)もはやJR九州西鉄電車、どちらも紙の日経を読んでいるサラリーマンは、1日1~2人いるかどうかの次元までなってしまったぜ。

霊夢)日経電子版、好評なんだね。

魔理沙)確かに、電子版で経済情報を閲覧できるようになったのは便利だな。だが、ここ最近は日経電子版も顧客層の確保が難しくなっている、という話を聞いてるぜ。

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「割高さ」打開に迷走?

魔理沙)日経電子版は2010年からスタートした、日本経済新聞の有料ニュース配信サービスだぜ。当初から有料会員数100万人を目標としていて、紙媒体に掲載していた記事を電子版に切り替えることで、販売店への委託に掛かる費用の削減や、日経が得意とする企業人事・株式市場の最新データを常に更新できるのが強みだぜ。2010年のスタート当初から評判がよく、2012年の地点で10万人、2017年には50万人、2021年には80万人を突破したそうだぜ。

霊夢)いちいち紙で配達して、ワンテンポ遅れて情報を知るという手間が省ける上に、リアルタイムチャートを眺められる性質もあるから、ビジネスマンや投資家には打って付けだよね。

魔理沙)ただ、この日経電子版も陰りが出てきて、2022年に入って80万人台を割り込んでいるぜ。

霊夢)へぇ-、そうなんだ。でも80万人前後で維持できているということは、仕事で役に立っているってことじゃないのかな?

魔理沙)それもあるが、一番の理由は「日経離れ」、更に言えば「需要がピークを超した」、というのが大きいぜ。実は、電子版が増加する一方で、本来の紙媒体に関しては印刷部数300万を割り込んでいるぜ

霊夢)そりゃあ、紙から電子版に移行する人がいるから、紙媒体が減少するのも当たり前でしょ?

魔理沙)いや、それだと困るんだぜ。元々、日経電子版は「紙媒体の新聞もセットで配達する」という前提条件があるぜ

霊夢)え?リアルタイム性度外視な、あの「紙」の新聞も取ってもらうの?

魔理沙)電子版のプランは大きく分けて、紙媒体抜きの、シンプルなテキストデータを軸としたサービス(文字通りの「電子版」)と、紙媒体の配達をセットで行う「宅配版」の2つがあるぜ。有料会員数が伸びているとはいえ、日本経済新聞社としては紙媒体の購読もして貰わなければ、経営面で困る。だから、本音は「紙媒体+電子版」の組み手で契約して欲しいのが実情だぜ

霊夢)そっかー。紙媒体が売れないと、いくら電子版が普及しても、結局は赤字分を吸収できずに「トントン」となってしまうからね。

魔理沙)それに、ここ最近は「電子版すら購読料が高い」と判断する顧客層が増え始め、解約して別の株式専用サイトなどで情報収集を行うユーザーも増えてきてるぜ。

霊夢)え?日経って、経済のことに詳しいんでしょ?

魔理沙)それはそうだが、日経電子版は月極が4,300円程度と、結構割高だぜ。ちなみに、紙媒体を宅配してもらう場合、セット版対象地域は月極4,900円、全日版(朝刊のみの統合版)が月極4,000円、日経直営店、もしくは委託販売している新聞販売店と交渉して「セット版だけど朝刊のみで」としている場合でも、概ね4,200~4,800円程度で商売しているぜ。

魔理沙)一方、有名所な経済メディア、たとえばブルームバーグやロイターだと、基本的な経済情報は無料で閲覧できるし、最大手のポータルサイトであるYahoo!(ニュース・ファイナンス)では、様々なニュースサイトを収集して企業情報・経済情報・投資ネタを一元的に表示し、しかも無料で閲覧できるから、これが日経離れに拍車を掛けているのもあるぜ。

霊夢)なるほど。日経が本来得意としていた経済情勢が、他のポータルサイトや無料閲覧可能な経済系の通信社で確認できるようになったことから、直接的コストが掛かる日経が敬遠されてしまっているのね。

魔理沙)それに、電子版にはとんでもない不具合があって、「解約しようとすると○○ヶ月分無料で継続できる(≒実質、超廉価 or タダ読み状態)」というバグがあるぜ。

霊夢)え?どういうこと?

魔理沙)紙媒体の場合、途中解約をすることで新聞社や販売店が不利益を被らないよう、法律で定められた「再販売価格維持制度」が存在していて、仮に途中解約を行った場合であっても、原則として契約した月の分は、本来、新聞社が定めた価格を支払う必要があるぜ。だが、電子版にはそんな法律や規定が無いから、少しでも顧客の繋ぎ止めを行うべく、元本割れを起こしてでも極端な廉価で再販売しているぜ

霊夢)えええーー、それじゃあ、紙媒体の新聞を購読しているお年寄りや、電子版で月4,300円~お金を出して読んでいるお客さんが不利益になっちゃうじゃん

魔理沙)そうだぜ。再販制維持に関しては賛否あるからここでは触れないが、「電子版なら法律の規制がないから繋ぎ止めをしよう」を繰り返せば、当然、既存の顧客から不信感が出るのは避けられないぜ。

霊夢)そういえば日経の購読申し込みサイトに行くと「2ヶ月無料」とか書いてあったけど、これ、大丈夫なのかな?

魔理沙大丈夫じゃないぜ。そんなことを紙媒体で行えば、販売店側が一方的にその負担を負わないといけないし、購読料の納付が怠れば、新聞社に跳ね返ってしまうぜ。いわば、紙媒体時代に行われていた「2年縛りを前提に○ヶ月は無料」「高額な景品プレゼントと引き換えに "2年縛り"」と大して変わらないぜ。

霊夢)あちゃー、結局は昔の押し売りとそんなに変わらないのか。

魔理沙)ただ、新聞を新規で開拓するのは凄く難しいし、昔みたいに大量に拡張団を連れて、恫喝まがいで強引に契約することも出来ない今では、できる限りの対策をして精一杯という現実もあるから、一概に日経電子版だけを批判するのは酷な話だぜ。

新聞社は(販売の面で)ネットと距離を置くべきか?

霊夢)日経電子版、今後どうなっちゃうのかな?

魔理沙)まず、現状問題を整理すると、

  • 電子版のピークを越えたため「頭打ち」
  • 月極4300~の価格設定(紙媒体セットを前提とした契約内容)
  • 目標100万人達成を理由に、少しでも繋ぎ止めを実施(電子版には再販制の規制がない)

魔理沙)これが現状だな。

霊夢)完全に「紙」を切り離して売らないのかしら?たとえば、「電子版単独契約だと無条件で今の半額以下」とか?

魔理沙)いや、それは無理だぜ。なぜなら、電子版言えども、中身は紙媒体とほぼ同じだぜ。ということは、本気で紙媒体抜きで行ってしまうと、日経電子版そのものが消滅(→紙媒体に戻らなければならなくなる)するぜ。

霊夢)それじゃあ、電子版の利用者数を、目標の100万から80万に見直すのは?

魔理沙霊夢、本気で考えているのかだぜ?紙で吸収できないから、そんなもん認めりゃ日経は大赤字まっしぐらだぜ。。

霊夢)あ、そっかー。確かにコレはダメよね~

魔理沙)日経に限ったことではないが、現実的な着地点としては、読売新聞や一部の地方紙が導入している「宅配強制としつつ、電子版はID登録が完了次第、朝刊・夕刊・無料閲覧が可能な範囲のみ限定して公開」という手法にするしかないぜ。ただ、この方法は紙媒体の契約が前提となるから、今後、宅配が行き詰まる2030年~2040年代まで持つかは謎だな。

霊夢)紙媒体の新聞をこよなく愛するの、今じゃ高齢者か余程の読書好きな人ぐらいしかいないからね。

魔理沙)同時に日経だけの問題とせず、新聞業界もいつまでもネットにニュースを垂れ流して、ポータルサイトの餌食になっている状態と距離を置く姿勢をも考える必要があると思うぜ。無料でニュースがタダ読みという状態が続けば、質のあるジャーナリズムを維持していくのが難しくなるし、紙媒体で特に顕著な「一部の偏った思想を持った読者への忖度(→定期購読の頼み込み)」が連発し、社会的公益が全くない、デマ・フェイクだらけのゴシップ紙になるぜ。

霊夢)夕刊紙やスポーツ紙は最初から「トバし」だけど、さすがに普通の朝刊でソレをされては、どうしていいものか分からんからね。

魔理沙)もちろん、いきなり紙媒体原理に戻すのではなく、段階的に見直していくのが大事だぜ。一つの案だが、「パブリックにニュースを閲覧できる状態を考慮して、利用者から一律で購読料980円→1,580円→2,280円徴収、その代わり、配達を希望する場合は、その差額分を払ってくれ」みたいな方法から導入し、ある程度行き渡ったところで速報ニュースのみに留めて紙に戻る。このようにして、読者と記者・販売職との距離感を保つ必要があるんじゃないか、だぜ。

霊夢)結局は「昔がよかった」になるわけね。ニュースの有料配信って、難しい。。