そらマメさん鉄道局・流通局

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鳥栖以南の交通モードきりかえを前提としたダイヤ再編案

 西九州新幹線が開業する9月23日より、鹿児島本線鳥栖駅以南における運行本数が大幅に削減される。削減の理由としては、

  • 新型コロナウイルス感染症流行に伴う、利用客数の大幅減から回復できていないこと。
  • リレーかもめ(西九州新幹線のりつぎ)を初めとした特急列車を優先させるため、それまで久留米駅を軸にダイヤが変わっていたものを、鳥栖駅に集約。
  • 朝夕は通勤・通学客を理由に快速列車を残すものの、それ以外の時間帯は空席が目立つため、区間快速の必要性が無くなった。
  • 都市間輸送の役割は九州新幹線に完全に移管しており、短距離における地域間輸送に関しても、10年前の新幹線全線開業から順調に変化し続けていることから、抜本的な見直しが必要。

 こうした理由が挙げられる。

 あくまでも今回のダイヤ見直しは、激変緩和措置の一環から、朝夕を除いたデータイム・ナイトタイムの運行本数を、鳥栖大牟田は1時間2本、大牟田~玉名は1時間1本のペースで見直すが、事実上の都市間・地域間輸送の役割を終えた当該線区の鹿児島本線は、交通モード転換を前提とした戦力外・自由契約を行うべき時期に差し掛かっている

 そこで、より現実的に「客・JRどちらも困らない程度」鳥栖~熊本のダイヤを見直すなら、どのような運行形態が理想的か考えていく。

列車とその運用形態

 全般として、この線区に投入する車両は、一部で使われている国鉄415系電車か、キハ47形といった気動車で十分であるJR九州が非常に苦しい経営を行っていることから、予算の都合で車両の増産を放棄した以上、予備も含め、比較的高速輸送が行える817系などを福岡・北九州都市圏に集約させ、代わりに北九州都市圏で使われている415系と置き換えて延命を図る。

 但し、415系関門トンネルを行き来する際、直流・交流の切り替えが行える唯一の車両であることから、迂闊に投入して関門が走行不可になっては困る。鳥栖大牟田・荒尾は平地が多く、後述の「データイム運行なし」という案も考慮して、思い切って非電化に降格した上で、比較的多く残されている気動車(キハ47形・JR九州125形など)に置き換えるというのも提案したい

(地獄の戦力外案内人・Suicaのペンギン
鳥栖以南は415系・キハ47形などの国鉄式で。身の丈に合った車両で我慢。

もしもボロ気動車に変えるなら、上空を走る電線を取り外して非電化に降格。

 現在は平日と土日祝日でダイヤが異なるが、これも2023年以降のダイヤ見直しで、平日と統合して共通化を図る。その際、鳥栖駅でリレーかもめなどの特急列車に乗り換えやすいよう、接続列車を調整する方向で検討する。

鳥栖~久留米

 鳥栖と久留米の間を極端に減少させると、乗り換え客に対して不利を被る可能性が高い。そのため、この部分は快速を廃止する代わりに、1時間2本を堅持した上で、鳥栖駅で特急・快速列車のりかえがシームレスに行えるようなダイヤを組む。

久留米~大牟田・荒尾

 通勤時(朝7時~9時台、16時~19時台)のみ1時間2本とする以外、原則としてデータイムの運行を大幅に取りやめる。具体的には、1時間2本の所を1時間1本にまで削減し、かつ、最も利用客が少なくなる10時~13時台と、14時~15時台、20時以降は運行しない時間帯を設ける。終電も、現在の22時台を更に早め、21時台を以て運行終了するように考慮。

荒尾~玉名・木葉

 この部分は最も空気輸送が大きく、JR九州の負担が極めて大きくなる線区であることから、交通モード切替に着手する。しばらくは沿線自治体との対立が生じるものの、理解を得ていただく以上、概ね2時間に1本の間隔で運行するように見直す。

 当該線区は廃線後、有明海沿岸道路への用地転換を行い、バス輸送による地域間輸送をJR側も協力する形で実施。

鳥栖以南で最も乗客がいない荒尾~玉名は、有明海沿岸道路に転換。

玉名・木葉~熊本・八代方面

 この線区は熊本都市圏への通学・通勤客が多いことや、熊本駅を軸とした熊本市内への旅行客が多く目立つため、直ぐさま廃止とはしない。但し、この線区においても、朝夕の通勤ラッシュ時以外は、原則として1時間2本程度、植木~玉名及び、宇土~八代に関しては、1時間1本の間隔になるように調整する。

完全無人化(または簡易委託化)の推奨

 久留米駅筑後船小屋駅を除き、久留米~上熊本における完全無人化、または更なる簡易委託化を推進する。但し、完全無人化を行うことで不正乗車などが起きやすくなる問題に対処するため、下記の要領で改札業務を切り替える。

  • 羽犬塚大牟田簡易委託駅に降格。但し、最も通勤客が多くなる朝夕時間帯のみ、出張という形で出札駅員を派遣する。
  • 本数が極端に少ないデータイム時は、時折、抜き打ちの形で運転士とは別に、出札業務を行う駅員を2~3人搭乗させて、不正乗車の減少に勤める。
  • 荒木・羽犬塚筑後船小屋・瀬高・大牟田・荒尾のみ、交通系ICカード乗車券での乗り降りに対応するほかは、基本的にカードリーダー改札機を撤去。列車内での直接支払いを行うように促す。

まとめ

 前述の通りに鳥栖駅でリレーかもめと接続することや、鳥栖以南の都市間輸送が終焉を迎え、地域間輸送においても、鳥栖~久留米」「久留米~大牟田・荒尾」「玉名~熊本~八代」「植木~熊本~宇土と、概ね4系統で分散化されていることを踏まえれば、上記の再編が妥当と考える。

現実的に考えられる、鳥栖以南のパターンダイヤ見直し案

 仮にこのダイヤを組むとなった場合、JR九州は丁寧な説明と、自治体からの圧力に屈しない形で断行する必要がある。一方で利用者の方も、それまでの一本通しでの鳥栖~八代移動は、今の交通環境の変化に対応し切れていない、時代遅れの鉄道輸送であることを理解しなければならない。