diamond.jp 共同通信社が暴走して事実と全く異なることを報じ続ける、間違いを訂正してもいうことを聞かずに攻撃的に物言いを行うという話。普段から報道屋ってそんなもんじゃんって話だが、ここに来て共同が暴走気味に走るのは、私にしたら幾つかの不安要素が重なり合っての形だと冷静にみている。
- 共同と加盟社の位置づけ(ざっとおさらい)
- 地方紙も地方紙で経営が苦しく、仕送り出来ない
- 地方紙は簡単に共同と縁を切れない
- 共同は地方紙の身代わり
- 地方紙を放棄し、「共同に魂を預ける」路線が現実的
- 九州産経・西日本新聞(夕刊)は、事実上、共同紙
共同と加盟社の位置づけ(ざっとおさらい)
そもそも共同通信はどんな報道態勢になっているのか、ココで簡単におさらい。
基本的にはニュースを配信する会社だが、取材にあたっては、「加盟社」と呼ばれる新聞社・民放と共同通信の記者が一緒になって行動する場合と、単にニュースだけ受け取る「契約社」の2形態に分かれる。
「加盟社」の長所は、地方紙では手に届かない全国・海外のニュースを共同通信が代役で取材する一方で、地方紙と一緒になって取材をすることで、同じ加盟社相手に記事を共有し合う仕組みを作っている所にある。全国まで手が届かない地方紙にしたら、共同が変わり身となって取材に応じてくれるため、これは有り難い。反面、共同も一緒に取材にあたる以上、どうしても地方紙よりも共同通信の権限が大きくなりやすく、地方ならではの独自紙面を作るにしても、共同も共同で自分たちの記事を新聞に載せろと言い争いが起き、通信社との軋轢が生じやすい難点もある。
一方、「契約社」は、自分たちで取材をするほどの余裕があるか、もしくは共同に仕送りするほどの余裕は無いものの、ニュースだけは欲しいという報道機関相手に供給のみ行う。読売新聞や朝日新聞などは契約社の位置づけであり、昨今苦しい状況になってはいるものの、自前で調達が可能ということから、それで対処している。共同の方針に従う必要がなく、必要に応じて通信社の記事を借りればいいので、共同との軋轢はさほど起きにくいものの、反面、自社で全てを調達しないといけないため、取材に対するコストは鰻登りになる。
もとを辿れば、共同通信社は戦後になって、大手新聞社の共同(加盟社)離脱が相次いだ時に、地方紙が共同ニュースを受け取れなくなることを懸念して、加盟社となる地方紙が出資する形で支え合う仕組みが発端となっている。共同が全国・世界各国にくまなく取材拠点を張り巡らせ、それによって質の高いニュースを供給できたのも、地方紙や一部加盟社からの仕送りが沢山あったからに他ならない。
その法則が今、大きく揺らいでいる。
地方紙も地方紙で経営が苦しく、仕送り出来ない
平成中期頃までは、日本の報道機関は賛否あれども、全国紙・地方紙・通信社ともに莫大な資金のもとでくまなく取材をすることが出来ていた。これは新聞をどの世帯も購読して下さり、それによって得られた軍資金のもとで共同を動かす力も十分にあったから。
でも、今は読者数の減少と読者層の変化(年寄り・社会運動家・活動家ぐらいしか契約しない)で、発行部数などたかがしれるレベルにまで落ちぶれており、それに加えて円安効果による原材料費高騰が原因の購読料値上げ、更には多様な情報チャネルの拡充により、新聞を契約して下さる確実な収入源が途絶えつつある。こうした状況下では、地方紙が共同に仕送りするカネも減らざるを得ないため、共同の取材網や記者の育成・品質重視の記事を保つことも難しくなる。
すると共同通信もコスト削減効果で取材をする余裕が無くなり、記者もモチベーションが下がって真面目に取材する意力を失ってしまう。で、だんだん捻くれた態度に変わっていく(これが先程の話に繋がる)。
地方紙は簡単に共同と縁を切れない
「そんなに共同がいい加減なことを書くなら、加盟社は離脱すれば?」って話だが、今の加盟社にそんな判断ができるとは全く思っていない。寧ろ、仕送りは減らすが、加担は更に強化するって方向に走るとみている。バーターである。
これは単純な話、加盟社も加盟社で共同の取材に助かっている側面があることや、戦後長らく共同通信と一心同体で取材してきたことの名残、更には自社取材だけで新聞社の経営を行うことは不可能と分かっているため。
地方紙の取材費用がどんどん削られていけば、地方紙もウケ狙い的に、あるいは読者層の顔を伺いながら、ワザと事実と異なるような記事を作らざるを得なくなるが、共同も共同で取材費が無いため、「共同の方針(≠本来の新聞社の方針)」として捻くれたことを言わざるを得なくなる。
また、日本の新聞は紙媒体の供給による宅配サービス業が基本であるため、ココで電子版に完全転換という流れには絶対にならない。となると、コストを削減する場所は「地方紙記者の削減・配置転換・紙面構成の見直し」となるため、済し崩しで共同の依存率が強化され、地方の話題よりも共同から送られてくる「ヤル気なし+活動家の主義主張」みたいな話だらけになり、地方紙の存在に疑問符を打つことになる。(で、カルト化が進んで読者減・発行部数見直しとなり、事実よりも主義主張・オピニオン要素の拡大。……まさに悪循環である。)
共同は地方紙の身代わり
前述の通り、共同通信は地方紙が共に出資し合う形で支えている側面があり、本来であれば地方紙が権力監視(謎)をすべき所を共同が代役で行うことで、権力者の暴走を食い止めるという建前論が存在している。
これ自体は言われてみれば、確かに。なのだが、言い換えれば、地方紙記者からしてみれば「自分たちが抱くモヤモヤとしたイデオロギーを、共同が代わりに喋らせてくれる」という側面もあるため、身代わり役としての共同を手放す訳にはいかないだろう。何のコンセンサスなしに下手に県政批判をすれば、行政やらから追い出される訳ですし。
地方紙を放棄し、「共同に魂を預ける」路線が現実的
こうした悪循環を断ち切るにはどうすればいいか。
残念ながら、私はもう無理だと思ってる。ただでさえ昨年の値上げでかなりの供給部数・純読者を減らしている状況下なのに、ここでさらに値上げとなれば、どうなるかは目に見えている。
地方紙は地方紙で、長らく続いてきた自分たちの県紙を廃刊にすることは出来ないし、共同も共同で仕送りが底を尽き、加盟社が相次いで離脱(契約社に降格、あるいは共同と縁を切る)という最悪な事態は回避したい。
となれば、地方紙は看板だけは残しつつ、一部の有力記者を共同通信社に送り込ませる(再就職斡旋)形で自社取材を放棄。事実上、共同通信に魂を預けることで「オール共同紙」とした方がリスクは低くなる。一方、共同も共同で、実質的に地方紙を乗っとることが出来るようになるため、自分たちの思い通りの紙面を作ることができるようになる。加盟社は共同と下記のように締結を見直し、
- 取材・ニュース配信は引き続き共同が行う(加盟社負担)
- 一方、紙面製作・共同紙の発行と印刷・配送に掛かる費用等は、共同が負担。
このようにしてバーターを結び、地方紙と共同を存続させる形が現実的な落としどころかとみている。
読者からしたら「馬鹿にしてるのか」と批判を受けそうだが、共同からしたら「そうですよ」になるし、加盟社からしたら「そうせざるを得ない」となる。まあ、共同通信の記事が大好きという熱心な信者もいるわけですし、この方法ならば形だけの地方紙・通信社は細々ながらも末永く生き残っていくんじゃないんですかね?(知らんけど)
九州産経・西日本新聞(夕刊)は、事実上、共同紙
擬似的ながらも、事実上、共同通信が紙面を作っているように錯覚する事例としては、産経新聞の九州・山口版と、西日本新聞の夕刊がある。前者は値上げ後の取材態勢見直しにより、一応レベルで九州総局こそあるものの、地域欄は西日本エリア総合と称してオピニオンやコラムを載せたり、ニュースがあるにしても全て共同通信から記事を引っ張って掲載している。「全国紙とは……?」
後者は単純に夕刊発行の需要はあるものの、西日本も西日本で夕刊紙向けに取材を行う余裕が無くなっていることから、全ページにわたって共同通信の記事をペタペタと貼り付けており、実質、共同に紙面製作を委託しているような状態となっている。
このような有様は、在福に限らず人口減に悩まされる自治体にある県紙では、わりかし普通。現段階ではまだ地方紙発のニュースが残っていたとしても、あと数年経てば全て共同通信に丸投げという事例も、そう遠くない話だよ。