新聞業界では、生成AIを使った報道姿勢には慎重な立場をとっている。
取り分け、ここでいう「慎重」とは、生成AIによる取材・記事の執筆と編集校正のことではなく、記事を公開した後で生成AIが無断で学習すること(知的財産権の保護)を意味しており、実は生成AI自体を否定している訳では無い。
参考:
- AI戦略会議 AI制度研究会「中間とりまとめ案」に対する意見
(日本新聞協会 2025年1月23日) - 生成AIにおける報道コンテンツの保護に関する声明
(日本新聞協会 2025年6月4日)
大手新聞社・通信社では、生成AIによる粗製濫造で、人間のクリエイティブが薄れてしまう可能性を懸念しているものの、記事の一部に関しては、寧ろ、生成AIに依存する時代がもうすぐそこまで到達していると言わざるを得ない。
試しに、今話題の「chatGPT」を使い、シンキングモードで3つの「お題」で社説を生成してもらった。
(1) 自民党・高市早苗総裁の総理大臣任命と、それに伴う政局


(2) 大阪・関西万博の「総括」

(3) 「青春18きっぷ廃止」を憂う or 受け入れるコラムを、一面下のアレっぽい記事で生成


こうして見ると、実は論説委員(社説・短文コラムを書く記者)や編集委員(専門分野の記事を書くことに特化した記者)の仕事は、大抵、生成AIに委ねることが可能だと分かる(皮肉な話だが、「言葉が立派で内容が浅い」「主語が国民・政治・社会で、責任主体がいない」という文章こそAIが得意とする領域)。
いまの社説は、概ね3つのパターンに収束しており、
この手の類の記事は「法則性」「テンプレート性」「事なかれ主義の要素」が濃く、生成AIが学習さえしておけば、ほぼ同じ品質の文章を瞬時に作り出せるため、社説・短文コラムは、AI生成に最も向いているジャンルである。人間が得意なのは、現場での取材や一次情報の掘り起こしであって、記事を仕上げて上げるという作業に関しては、すでにAIのほうが早く正確だ。むしろ「現場取材なし」「定型主張だけ」の記事なら、AIに完全代替されるのも時間の問題だろう。
もちろん、現状では取材を通じて“現場の空気”を掴み、記事を作るためのプロセスには人力の手間がまだ欠かせない。しかし、取材記者の人員不足や高齢化、取材費削減に苦しむ新聞社にとって、
AIによる代筆はすでに魅力的な選択肢になりつつある。
読者は近い将来、社説や短文コラムを読んで「これ、本当に人が書いたの?」と疑う日が来るかもしれない。だが、その時点ではもう、AIは立派な“論説委員”として日常に溶け込んでいるだろう。