長崎県内の新聞流通考察について。
全般的な話
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単純に県内全域だけで見れば長崎新聞の客層が最も多いが、より細かく見れば県南地域(長崎市・諫早市・島原半島など)では長崎新聞→西日本新聞→読売新聞の順になる一方で、逆に県北地域(佐世保市・松浦市など)では西日本新聞→長崎新聞→読売新聞の順になる傾向にある。また、長崎県内には3つの離島(五島列島・壱岐・対馬)があるが、福岡市に近い壱岐・対馬では、県紙があるにも関わらず、西日本新聞・読売新聞の客層が多い。
佐世保都市圏で西日本新聞・読売新聞の客層が多いのは、在来線特急を経由することで、福岡市内への通勤がしやすい土地柄にあるのが大きい。加えて、大阪・東京方面への通勤・旅行に関しても、長崎空港を使うよりも在来線特急→福岡空港から向かう方が便数が多く、新幹線乗り換えもスムーズに行いやすいという事情もある。
こうしたことから、西日本と読売・朝日・毎日の県版は「長崎向け」と「佐世保向け」で紙面を分けて発行している。ただ、最近では発行部数の減少や新型コロナウイルス蔓延に伴う取材の見直しなども重なり、南北に分けて発行するスタンスから県内統合に切り替えて編集する方針に体制が変わりつつある。
版立て
長崎新聞
長崎県内で最も流通している新聞で、文字通りの県紙。但し、実際のシェアに関しては、県南と県北・離島で事情が異なる。版立て記号は特に明記されておらず、ほぼ同一時間で締切・印刷を開始しているものと見られる。
アジア太平洋戦争の真っ只中に実施された「一県一紙体制」で、県内にあった地方紙が無理やり合併させられて長崎新聞が誕生したが、終戦後、一旦はそれぞれの地域紙に分裂している。その後は島原半島を取材拠点とする島原新聞を除き、再び長崎新聞と合流し、現在に至っている。
離島にも新聞を運ばないといけないという事情から、長崎新聞のテレビ欄は「明日・明後日のテレビ欄」が独自に設けられている。 また、離島に新聞が運ばれてくるのは、早くても朝~昼頃になる。
紙面構成は2~5ページで地域欄という、現在の山口新聞に似た構成になっている。国内・海外のニュースやコラムは共同通信受けで対応。長崎の負の歴史である長崎の原爆投下に対する反戦・平和記事や、雲仙普賢岳の火砕流災害に関し、防災関係の記事が目立つ。
(第1テレビ)
- ncc長崎文化放送 5ch
- NBC長崎放送 3ch
- KTNテレビ長崎 8ch
- NIB長崎国際テレビ 4ch
- NHK BS1
- NHK BSプレミアム
- WOWOW
- ケーブルテレビ(長崎ケーブルメディア・テレビ佐世保・諫早sunてれび・おおむらテレビ・テレビ島原・福江ケーブルテレビ・五島テレビ)
(ラジオ)
西日本新聞(16▲)
表題に「長崎」「佐世保」という副題が付くとおり、県南よりも県北の方でシェアがある新聞。佐世保・壱岐・対馬の視点で考えれば福岡志向のメディアとなるが、逆に県南の長崎市・諫早市・島原市などでは、長崎新聞とはいい競争相手。
県版は3ページ体制で、普段は長崎向け・佐世保向けに分けて県域情報を伝える。残る1~2ページは在福の夕刊差し替え記事。
以前は隣県の佐賀県も含めて「17▲」というのも存在したが、現在は他の福岡県以外と同様の「16▲」で固定化されている。
離島への配送に関しては、博多区にある例の印刷工場から出荷。このうち、五島列島・壱岐・対馬は船舶で輸送するため、どうしても昼頃になってしまう。
全国紙(12▲~13▲)
全国紙に関しては、読売新聞が西日本新聞に次いで食い込んでいる。長崎新聞の反戦・平和活動の論調に近いとされる朝日新聞・毎日新聞は、読売以上にシェアが少なく、「朝日新聞がどうにか見つけられて、毎日新聞・産経新聞に至っては、ごく一部のコンビニかJR長崎駅のファミリーマートでないと、ほぼ無理」というくらいの難易度である。
全国紙の場合、陸地に関しては、読売新聞・朝日新聞・日本経済新聞は福岡・鳥栖の印刷工場から持ち込み、毎日新聞は長崎新聞社の印刷工場を借りる形で受託印刷を行っている(離島への配送も、例の如く船舶か空輸)。
島原新聞
長崎県の地域紙の中で最もメジャーなメディア。詳しくは当該記事で。
この他にも、対馬新聞・壱岐新報という地域紙が存在するらしい(全国新聞事情・改 北部九州編で確認)。
壱岐・対馬で新聞を一部買い?
非常にハードルが高く、空港のラウンジか、離島にあるごく数店舗のファミリーマートでしか購入できない。特に対馬に関してはココストアからの鞍替え店舗であるファミマが唯一の即売拠点になっている。作者がそこで一部買い出来る時は、来るのだろうか?