そらマメさん鉄道局・流通局

ココでは新聞の流通考察・鉄道旅行話などを。

富山県の新聞流通考察

 九州豪雨に伴う緊急報道体制時の新聞や、それ以前にもFGO全面広告の輸送などでお世話になった、同人サークル「横浜新聞研究所」の主宰者・野江乃絵さんからのご提供により、いわゆる「富山(石川)県内で流通している新聞」(新聞の県版カテゴリー)の特別編を、今回ご紹介しましょう。

f:id:fuwafuwaame:20200714141451j:plain

富山県内で流通している主要新聞(一般紙)

意外な激戦区・とやま

f:id:fuwafuwaame:20200714011526p:plain

石川県・富山県の新聞一覧

 富山県の新聞も、シンプルに考えれば「全国紙と県紙」の2つが流通している。しかし、具体的に見ていくと、実は富山県・石川県内では「全国紙が東京本社・大阪本社で分かれている」「県紙が隣県にも跨がるモノがある」など、かなり複雑で拡販競争も首都圏並みの激戦区となっている

版立て

富山県内の取材拠点

読売新聞東京本社・北陸支社
  • 北陸本社(高岡支局併設)
  • 富山支局
朝日新聞大阪本社
  • 富山総局
  • 高岡支局
  • 魚津支局
毎日新聞大阪本社
  • 富山支局
北日本新聞
  • 富山本社
  • 新川(魚津)支社
  • 高岡支社
  • 砺波支社
  • 氷見総局
  • 射水総局
  • 南砺総局
  • ほか、約20箇所の支局あり。
富山新聞北國新聞系列)
  • 富山本社
  • 高岡支社
  • 魚津総局
  • 砺波総局
  • 氷見総局
  • ほか、約5箇所の支局あり
北陸中日新聞中日新聞北陸支社)
  • 富山支局
  • 高岡支局
  • 通信局(魚津・砺波)

全国紙

読売新聞(東京本社・北陸支社)

 全国紙の場合は、読売を除いた各紙が大阪本社なのに対し、読売新聞は独自の地域支社である「北陸支社」を構えており、扱いとしては東京本社の北陸出張所のような形態を採っている

 読売新聞東京本社がどうして北陸支社として分離させているのかというと、現在の読売新聞グループを形成する上で欠かせない、故・正力松太郎氏の存在がある(いわゆる「プロ野球の父・原子力の父・テレビ放送の父」とされ、読売中興の祖とも賞された、偉大なる経営者)。正力氏の生まれ故郷はココ、富山県射水市出身)。正力氏が登場した後の読売にすれば、富山県「第二の故郷」という側面をも持っている。

 戦前~戦後日本における彼の功績を称えるため、扱いは東京本社の下位組織という位置づけながらも、実質的に富山県・石川県独自の全国紙(ブロック紙)を発行することで、両県における一定のシェアの確立に成功している。また、北陸支社では東京本社版の夕刊(3版)も発行しており、首都圏・関西圏と大きく離れた土地柄でありながら、首都圏並みの編成で遣り繰りしている。

 但し、北陸支社と言えども、やはり首都圏・関西圏と違って読者の規模はお世辞にも少ない。そのため、取材・編集・配達は北陸支社(東京基準)でありつつも、印刷に関しては地方紙の北日本新聞社に委託している(ムリして夕刊を発行するため、北日本新聞にすれば二度手間が生じている)

f:id:fuwafuwaame:20200714141715j:plain

北陸支社(高岡市下関町、高岡駅の近所)の住所があるも、基本的には東京本社の出張所扱い。

f:id:fuwafuwaame:20200714142717j:plain

高岡目線の話が多い地域面。あくまでも全国紙の県版と同じなので1pのみで対処。

f:id:fuwafuwaame:20200714142931j:plain

珍しく東京目線の夕刊も発行しているが、印刷は北日本新聞に委託。北日本は夕刊を発行していない。

f:id:fuwafuwaame:20200714143148j:plain

テレビ番組表のデザインは、東京本社をベースに製作。(新聞紙別番組表の順番は別途)

読売以外

 一方、それ以外の全国紙(朝日・毎日・日経・産経)は、全て大阪本社管内であり、このうち、朝日新聞に関しては中日新聞北陸支社に、日本経済新聞北國新聞社に印刷業務を委託している。毎日・産経は大阪で印刷されたモノを輸送する形態らしく、基本的にはJR西日本KIOSKセブンイレブンなどでない限り、毎日・産経を即売で購読するのは困難に近い。

 朝日新聞も、一時期は富山県は東京志向だから、東京本社管轄にするべき」という考えから、1989年9月より東京本社のもとで取材・編集・発行を行っていたこともあった(名古屋本社の印刷工場でプリントした後、トラックを使って輸送)。しかし、結局は合理化を理由に、2011年4月1日から中日新聞北陸支社に印刷業務を委託、そのまま大阪本社管内に里帰りし、現在に至る。

f:id:fuwafuwaame:20200714143713j:plain

読売以外の全国紙は、全て大阪本社管内。
朝日に関しては、元々の発行部数が少ないことを理由に、中日系列に委託している。

f:id:fuwafuwaame:20200714151610j:plain

朝日新聞毎日新聞の県域コーナー。読売同様、1pのみ。

 全国紙のシェアは「読売≫≫≫≫朝日ほか」の順番だが、後述の複雑な県紙が激しい拡販競争を行っていることや、北陸という土地柄上、殆ど出番がない。読売新聞が2019年上半期の地点で約7万部、朝日新聞が約0.6万部という極端な差があるにしても、富山県内では県紙の北日本新聞が約23万部も発行していることから、全国紙に関しては「読売に関しては、大抵、どこのコンビニでも見かける」という感覚で見られているのが一般的だろう。ちなみに、北日本の競合紙・富山新聞北國新聞系)は約4万部程度しかなく、名前とは裏腹に、お隣・石川県の新聞という印象が拭えない。

参考文献:

県紙・ブロック紙

f:id:fuwafuwaame:20200714151130j:plain

富山県にある3つの県紙・ブロック紙。どれを取るか、悩む。

 単純に発行部数だけで見れば、ダントツで発行部数が多いのは北日本新聞。その次に多いのが北國新聞の系列会社が発行する富山新聞。事実上のブロック紙である北陸中日新聞は殆ど流通していない。

北日本新聞

f:id:fuwafuwaame:20200714154352j:plain

北日本新聞

 富山県内で最も流通している新聞。1884年に、当時の地元の政界人たちよって作られた「中越新聞」がルーツとなっている。その後、幾度の編入・合併などを繰り返し、いわゆる一県一紙体制の時に県内にあった4つの新聞(富山日報・高岡新聞・北陸日日新聞・北陸タイムス)を無理やり合併する形で北日本新聞が誕生し、現在に至る。

 1952年に系列の北陸新聞を隣の石川県で発行するも、スグに身売りして地元の百貨店に経営を移し、その後で中日新聞社の手によって引き取られたのが、いわゆる現在の「北陸中日新聞」である。よって、北日本と北陸中日とは「遠い親戚関係」にある。

 地域面は概ね4ページ構成。

富山新聞北國新聞系列)

f:id:fuwafuwaame:20200714155251j:plain

富山新聞北國新聞系列)

 北日本新聞における事実上のライバルで、こっちが主要県紙かと勘違いしそうになる。比較的保守的な論調として知られる北國新聞社の富山向けバージョンであり、一部の紙面は北國新聞をそのまま流用している。地域面は概ね4ページ程度。

北陸中日新聞中日新聞北陸本社)

f:id:fuwafuwaame:20200714145850j:plain

北陸中日新聞。……中身は「東京新聞」の雰囲気に近く、人を選ぶ。

 明確にブロック紙と分類されるモノとしては、中日新聞社の北陸本社(発行所:石川県金沢市)が発行している北陸中日新聞がある。と言っても、中身は県版を除けば中日新聞と大差ない(いろんな意味で左傾路線で暴走している東京新聞の紙面を流用する傾向にある)

 富山県内では約0.7万部程度しかなく、基本的には他の販売店に委託している所が多い。なお、隣県の石川県では北陸中日の本社が立地していることや、北陸エリアにおける中日新聞の重要な取材拠点であることも勘案し、約8万部近く流通している。

夕刊

 夕刊を発行しているのは、全国紙の読売新聞と、北國新聞(石川県向け)・北陸中日新聞の3紙。富山県内で即売されている場所は限られており、隣の石川県に近い地域では希にコンビニなどで売られているらしい。

テレビ番組表の順番

f:id:fuwafuwaame:20200714162135p:plain

大まかな並び順。第2テレビ欄・ケーブルテレビなどは、別途、各紙を参照。

実は保守・革新、どちらも両立した新聞が流通している

 閲覧する側の価値観や受け止め方にも左右されるが、いわゆる保守的な論調は読売新聞・富山新聞(北國系)、対して革新的な論調は北日本・北陸中日・朝日・毎日といった具合。銘柄の数だけ見れば革新派のメディアが多いモノの、朝日・毎日・北陸中日が実質的に富山県内で殆ど流通していないことを踏まえると、概ね五分五分か、やや保守的な土地柄なのかなとも受け止められる。

 ただ、こうした論調の違い(極度のイデオロギーは論外)や地域情勢に応じた様々な報道を受け入れることが出来る以上、富山県はとても恵まれているように感じる。 ※作者の主観ですけど……。

最後に

 今回は横浜新聞研究所の野江乃絵さんからの温かいご協力のもと、北陸目線の新聞を鑑賞することが出来ました。新聞紙の物々交換という形にはなったものの、遠く離れた北陸の現状を九州の視点から見てみると、日本は狭いようで遠く、複雑で多様な文化に満ちあふれていると実感しています。私の方もムリをお願いしてしまった一面はありますが、お互いそれぞれご協力戴いたことに、深く感謝いたします。ありがとうございました。 

今日は新聞休刊日です。(2020年7月13日)

f:id:fuwafuwaame:20200711125748p:plain

今日は新聞休刊日。朝刊の発行・配達・即売はございません。

 おはようございます。本日、2020年7月13日は新聞休刊日です。休刊日のため、朝刊の発行はございません。その代わり、スポーツ新聞に関しては一部を除き、駅売り・コンビニ売りに限定し、臨時即売版を発行しました。

消える新聞販売店の話。

 この前、とある販売店に出かけた時のこと。そこで英訳新聞を売っているとの情報を聞いたため、貯金を切り崩してでも一部買いしようと、そのお店へ。ところが、オーナーさんや店員さんがいない。たまたま夕刊の配達に出かけていた時間帯に来店したのもあるため、諦めて帰ろうかなとも思った。

 店員さんを呼ぼうと、インターフォンを押そうとした時、ふと目にとまったのが謎のメモ書き。そこには「○○新聞は今月いっぱいで休む」という旨の内容が記載されていた。

 最初は「え?ウソだろ?日刊紙が廃止される?」と誤解したが、単に新聞販売店のFC経営を手放すだけの話とスグに解釈を修正した。

 いつ頃そんなメモ用紙が貼られていたのかは分からない。しかし、その店舗には日刊紙とその夕刊がスタンド売りの形で配備していたし、他の新聞販売店同様、チラシや配達に関する指示書などがあちこちに貼ってあったため、潰れてはいない。となれば、元々のFCオーナーさんが何らかの理由で「卒業」され、代わって一時的に本社直営店として受け持っていると考えた方が良さそうだ。

bunshun.jp 今年は東京五輪が開催されてウッハウハ!と騒ぎ、その後で計画的に発行部数を削減し、身の丈にあった報道体制にしていこう。こんな風に誰もが描いていた。しかしながら、春先あたりでCOVID19相手にケチつけられると、緊急事態宣言発動でチラシ収入や紙面広告がゼロに。1~2ヶ月は元に戻らず、やっと回復したかと思ったら今度は例の水害が発生するなど、青地図に描いていたシナリオがバタバタと倒れていった。販売店や新聞社もそれに巻き込まれており、COVID19蔓延後に店が消滅した所が数多く出現したという。

 とあるフォロワーさんの話では、それまで存在していた日刊紙を扱う過疎地の店舗が1つに合体(別の日刊紙を引き継ぐ形で継承)し、事実上のグランドスラムが誕生したという。今の所、自分のところではそうした事態にはなっていないものの、第2波の漂流で再び緊急事態宣言が発動した時、いったいどうなるのやらと興味深く見守っている所がある。

 コレとは別に、夕刊を発行していた地方紙が朝刊に一本化されるなど、ココまで来ると「宅配って何なんだろう?報道って何なんだろう?」と複雑な感情を抱くようになる。

 「まさか至近範囲でそんなことは起こらんよね、需要は低下したものの、まだまだ経済基盤がデカい福岡県にしたら余裕余裕」なんてノンキに思っていたこともあったが、目の前で実質的な販売店の休店を目撃したら、やっぱし他人事じゃない!と考えさせられる一日だった。

激甚災害にありがちな新聞の紙面

 人吉球磨の激甚災害ばかり気を取られていたら、今度は福岡・佐賀・長崎・大分でも集中豪雨による大規模な災害が発生。特に筑後川流域は、大分県日田市で堤防決壊が相次ぎ、久留米市では越流氾濫による浸水が起きる一方で、大牟田市でも経験したことがない冠水が起きて大混乱に陥っている。

 そうしたことを踏まえて今日の一面。正直、一面の写真を見てるだけでお腹いっぱいになってくる orz

今日の一面

f:id:fuwafuwaame:20200708122312j:plain

今日の朝刊(2020年7月8日)。見てて具合悪くなってくる orz
【一面】
  • (西日本・福岡18S)日田 筑後川氾濫 続く大雨 九州4人死亡 前線停滞 厳戒を 熊本豪雨 死者52人 不明は10人
  • (読売・西部13S)九州全県9河川氾濫 豪雨死者56人 不明12人 121万人避難指示
  • (朝日・西部14S▲)豪雨被害 九州全域に 死者56人 避難指示142万人
  • (日経・西部12)アップル新機種 有機EL iPhone「5G」全4モデル
    ↑拝啓、Apple様。
  • 東スポ)元嫁ユッキーナに!! フジモン引退勧告 身を引け!!
    ↑今日も東スポは平常運転^^

 私が即売を買いに行く行きつけの店、以前は毎日新聞産経新聞も扱っていたが、2紙が撤退して西日本・読売・朝日・日経の4紙しか売られておらず、周辺のコンビニもその4紙しかない。そのため、今後は毎日・産経は久留米や福岡・北九州など、偶然発見した場合に一部買いする程度に留め、基本的には西日本・読売・朝日・日経(+東スポ)を軸に話を進めていく

 西日本・朝日は、大牟田市が冠水して警察官が用意した救命ボートで運び出される住民の様子が一面に来ている。読売は日田市天瀬町にある天ヶ瀬温泉筑後川上流)において、濁流で破損した橋梁の一部や残骸の様子が一面に来ている。ただ、読売は東京基準の編集を行っているためか、隣にPCR検査拡大を検討する政府案の話も、スペースを狭くする形で掲載していた。

 朝日と読売は西日本豪雨(2018年)回想記に加え、社会面のレイアウトを大幅に変える形で現場報告を行っている。西日本は西日本豪雨の記事がない反面、地域面もフル活用する形で被害に巻き込まれた現場の様子を詳細に刻み込んでいた。

 日経は総合面にあたる3ページ目に治水対策の在り方を考える記事が掲載されており、治水予算の削減傾向やハザードマップに該当する地域に対する考えの見直しなど、他とは少し距離を置きつつ、一線を画していた。

災害あるある(新聞編)

 執筆時は梅雨前線が九州から少し離れて関西~東日本の方に延びているため、今は休戦状態。だが、今後1週間も再び激甚豪雨が起きる可能性が高く、全然油断できない。最新の情報に、ご注意を。

 ココでは見方を変え、こうした時に出てくる新聞の「お約束」を見ていく。

「配達遅れます、すんましぇん」社告

f:id:fuwafuwaame:20200708114729j:plain

【お詫び】 配達遅延の可能性があります。

 基本的には激甚災害が起きている最中でも、新聞配達は確実に行うことになっている。しかし、道路が破損して通行不能となっている場合や、途中から猛烈な大雨が降り出し、冠水の危機に遭いそうな場合は、時間を大幅にズラして配達するか、やむなく「欠配」(当日配達が不能となること)を販売店が下すこともある。

 新聞社はそうした事態を予め見据えているため、一面の脇には「配達遅延、または欠配の可能性があります」という社告を入れる。クレーム回避の役割もあるが、配達員の身の安全が最優先である以上、こればかりはやむを得ない。

 なお、最近は電子版を公開している新聞社が増え始め、どうしても欠配が懸念される場合には、時期を限定する形で電子版を無料開放とする特例措置を設ける所が多くなった(西日本・熊日で確認済み)

災害保険の広告

 激甚災害が発生した場合、殆どの新聞で火災保険を扱う保険会社からのお見舞い広告が掲載される。家が浸水した場合、罹災証明書を各市町村役場から発行してもらう必要があるが、証明書を保険会社に提出することで、加入している保険会社から全体の幾らかを保険で賄い、家の建て替え費用に充てるためである。自治体によっては、明確な災害に巻き込まれた場合には、ある程度は税金でも補助を出す所もあるので、確認を。

銀行の広告

 同じく、預金通帳やキャッシュカードが家の浸水で紛失した場合、銀行側で通帳・カードの再発行手続きや預貯金の補償などを行うことから、銀行の広告が載る。また、会社を経営している場合には、災害に伴う営業停止状態の補償などを行うための話も出てくる。

携帯電話会社

 安否情報を登録・確認するための災害伝言ダイヤルの広告が掲載される。誰でも分かりやすく情報が伝わるよう、1ページ~1/3ページの枠で載ることが多い。

出来るだけ遅延・欠配しない努力

 新聞社も「無料開放しているデジタル版で、取りあえず凌いで下さい」とは言っているものの、基本的には紙媒体の宅配が前提となっている。

 そこで、新聞社も少しは考える。ポイントなのは「印刷時間を大幅に切り上げる」という方法。地域別の版立て番号は同じであっても、通常よりも大幅に前倒しして印刷工場に紙面データの転送・輪転機で印刷をかけ、大雨が接近する前か、接近後に運送業者だけが知っている裏道などを使って、通常よりも約1時間以上も早く、新聞屋に届くように工夫している。

 日本経済新聞の場合、夕刊発行に関しては他紙と異なる。通常は早版エリアが「3」、遅版エリアが「4」となっているが、異常時に関しては発行時刻をワザと大幅に早めていることを示すため、早版「1」・遅版「2」という記号を掲載している。いわば、新聞社が公的に認めたようなモノである(他紙は基本的にはヒミツ)。

f:id:fuwafuwaame:20200708121100j:plain

2020年7月7日付の日経夕刊(西部)。異常事態に配慮し、早版の版立てが「1」となっている。

 販売店に新聞が到着するのが明確に早いと分かっている場合は、予め、新聞社(または販売グループ会社)が販売店側に通知を入れ、配達員にも通常とは時間が大幅に前倒しになることを告げる。

 こうすることで、大雨が降らずに完遂出来れば、通常よりも大幅に早くお家に帰れるのでハッピーハッピーになるが、逆に激甚災害の真っ只中では「はよ帰りたい」という焦りと、バイクのエンスト、配達困難地域の発生で遅延・欠配が起きるようになる。いわば、早く印刷時間を繰り上げたところで、早く仕事が終われるかは完全に「運」の世界でもあるわけです……。

絶対に避けて通れないJR九州の廃線問題

response.jp 人吉球磨での集中豪雨による被害が続々と判明する一方で、昨日は長崎・佐賀・福岡県内でも集中豪雨が発生。筑後川が間接的に越水するなど、大問題になった。

 JR九州管内において、現段階で判明している被災による運休区間をまとめると、

 この2路線は長期運休が懸念される。前者の久大本線に関しては、2017年の九州北部豪雨において回復したばかりなのに、再び橋梁が筑後川水系の大増水によって破壊。肥薩線に関しては、特に球磨川と並走する八代~人吉間の橋梁や線路・駅舎などが大きく破損していることに加え、第3セクター会社として国鉄戦力外を免れたくま川鉄道も、自力での回復が不可能になるくらいの損傷であることが判明しているため、もはやJR九州だけでは到底太刀打ち出来ない。

 今は強力な梅雨前線が通り過ぎるのを待つしか無く、取りあえず道路の災害復旧とガレキの片付け清掃、そして生活インフラの早期回復を図ることが最優先だが、生活インフラがある程度回復した後は、接続する他社線も含め、JR九州管内の存続問題が必ず出てくる。

 久大本線肥薩線(+他社線)も自動車輸送への世代交代が起こった場所であり、該当する区間の交通に関しても、一般的には高速バスなどで都市間を行き来している。ただ、前者の場合は天ヶ瀬・由布院温泉といった観光地への利用目的で需要がある他に、起点の久留米~日田と終点の向之原~大分までは都市内輸送としての役割が強く、全廃するのは難しい。

 一方、後者の場合は一足先に廃線になった旧・三江線の事例と同様、「遠回りする割には(観光列車を除いて)基本的に客が居ない」という弱点をはらんでいるため、JR九州としては災害を理由に戦力外通告とする公算が大きくなっている。

 今後想定される話としては、

  1. 多発する災害に対応できず、加えて輸送密度や営業収益とのバランスを天秤にかけても全く看過できない。そのため、久大本線は一部区間肥薩線はほぼ全線を廃止とする方向で調整。
  2. 久大本線はBRT日田彦山線との接続も勘案し、福岡県側はJR久留米駅日田駅をバス専用道として切り替え、大分県側は(自治体の協力前提で)引き続き鉄道網を維持。
  3. 肥薩線は被災した距離があまりにも長すぎるため、自治体の協力なしでは復旧不能熊本県としては、人吉駅で繋がる他社線にも配慮しないといけない)。そのため、熊本県も拒否する可能性が大きく、仮に自治体主導で復帰したとしても、再び、巨大な水害が発生した場合には太刀打ち出来ない。こうしたことから、「くま川鉄道の八代延伸(JR九州撤退)」も自治体全額出資による肥薩線回復も、ほぼ絶望。

 このようになると見込んでいる。残念ながら、久大本線大分県が公的負担を出すのならば回復の余地があるものの、肥薩線は被災している距離があまりにも長すぎるため、有無を問わずに廃止(BRTでの復活も難しい)とする方向で話が進んでいくと思う。一介の会社に何でも回復を求めさせるのは、あまりにも酷な話である

 昨年末に「かわせみ号に乗ってみたい」という目標を掲げていたが、その目標も木っ端微塵に破壊。もう諦めるしかない。

 不謹慎な発言になるが、本気でJRが廃線を通告してくる場合、こうした激甚災害による理由付けが必要になるのを見ていると、日本の鉄道は地域輸送よりも自分のムラのシンボルという束縛から抜けきれないんだなとつくづく感じる。アシの確保は、何も鉄道にこだわった話じゃないのに……。

人吉球磨豪雨(仮)の翌日の新聞 ●

 人吉・球磨地方の大水害に巻き込まれた住民の皆さま、及び、水害に伴う死傷者に対し、深くお見舞い申し上げます。一刻も早い回復をお祈り致します(私も2012年の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた身であるために、その地域の現状がよく分かるんですよね……)。

 これらを踏まえながら、本日の朝刊を。

f:id:fuwafuwaame:20200705182426j:plain

在福+熊日そろって、一面が水害で水の底に沈んだ人吉球磨の写真となっている。

 気象庁による便宜的な公称が定まっていないため、新聞社ごとにバラバラである。「熊本豪雨」と記載したのは西日本新聞朝日新聞毎日新聞産経新聞。「熊本大雨」は読売新聞で、地元の熊本日日新聞は「県南豪雨」といった表現をしていた。

 西日本と全国紙5紙は在福・筑後版の紙面を参考にし、熊日は電子版で公開されている最終版(てか、版立てを止めたみたい)の情報をもとに一面を書き起こすと、こうなる。

【一面】

  • 熊日)県南豪雨 球磨川氾濫 2人死亡 16人心肺停止 9人不明 人吉市街など冠水 県内初 大雨特別警報
  • (西日本・福岡18S)熊本豪雨 17人心肺停止 2人の死亡を確認 球磨川氾濫、特養水没
  • (読売・福岡13S)熊本大雨 2人死亡 球磨川氾濫、土砂崩れ 1人重体 特養14人心肺停止 線状降水帯 流域覆う
  • (朝日・福岡14S)熊本豪雨 心肺停止15人 球磨川氾濫 特養が水没 芦北・津奈木町 2人死亡確認 街が冠水 川との境界見えず
  • (毎日・福岡14S)熊本豪雨 17人心肺停止 球磨川氾濫 特養浸水 1人死亡、9人不明 線状降水帯 停滞か
  • (九州産経)熊本で豪雨 15人心肺停止 特養ホーム水没 球磨川が氾濫 9人不明1人重体(共同)

 珍しく九州産経が一面トップで水害の話を持ち出しているが、既に産経は南九州支局を廃止したため、産経の記者がどのようにして人吉球磨に乗り込んだか、最初は分からなかった。改めて社会面を確認したところ、墓参りを理由に偶然にも帰省していた産経新聞の記者が、危機を予知しつつも自宅待機で様子を見ていたものの、その後で急激に水かさが増して逃げようとしたが、既に道路が浸水して身動きが取れずに危うく流されそうになったらしい(他の地元民によるボランティアも含めて、どうにか避難所へ逃げることは出来た様子)

www.sankei.com 産経の記者によるルポがある他は無署名記事となっていることから、共同通信のニュースを一面に配備し、それで東京本社ベースの紙面を構成しているものと見られる。

 産経に限らず、多くの取材班が人吉球磨に立ち入ることが出来ず、球磨川に沿う唯一の連絡道路である国道219号の通行止めはもちろんのこと、九州道も通行不能となって太刀打ち出来ない。そのため、八代以南に取材拠点を構える記者が何らかの方法で現場に入りつつ、取りあえず現段階で分かっている情報を、役場からの取材や被害に遭われた住民から声を拾うなどして、今日付の朝刊は「やや情報不足」といった印象を受ける。仕方が無いことだけど……。

 どの新聞も被災地の状況をカメラマンが撮影したページが1ページ存在し、社会面では普段とは大きく異なるレイアウトで、可能な限りの情報収集をもとに記載した記事を載せている印象を受けた。

 

 この後も再び大雨(線状降水帯の危機も)が降る予想なので、九州北部(謎)の地域は要注意。自分のところも犠牲に巻き込まれてしまうのかと不安である(--;

 

熊日はインフラが仮回復するまでの当面の間、電子版を無料開放しているそうですよ。

ゲキ☆ヤスきっぷ令和版

trafficnews.jp この割引、国策でETC1000円高速を実施した時に、当時のJR九州「ゲキヤスきっぷ」を出したのと状況が似てる。九州新幹線JR九州の特急に無条件乗り放題(指定席は最大6回まで)という、超デラックスな割引きっぷだけど、正直、コレは儲かるモノなのだろうかという不安も。

 今回は北部九州だけ利用するというプランがあるため、ソレを予約してみようかな。行くとするなら、まだ鉄道だけでまともに移動したことがない大分県が中心になると思う。

ひと味違う九州産経と、冷静かつ客観的に伝える他の新聞

f:id:fuwafuwaame:20200701175831j:plain

九州産経と他の新聞。産経は独り歩きな印象を受ける。

 中華人民共和国一国二制度の廃止に伴う報道、産経新聞は一面トップで「香港は死んだ」というタイトルで香港滞在の記者によるコラムを全面に押し出し、中国政府の対応を厳しく批判していた。一方、他の読売新聞・西日本新聞(共同電)・日本経済新聞、それに朝日新聞毎日新聞は、割と冷静・客観的。もちろん、全紙共に批判一色だが、産経のような煽った伝え方はしていない。

 普段から民主化を強く主張してきた産経らしさが伝わった朝刊だが、ちゃんと分かっている人以外の読者(しぶしぶ契約して取らされてる世帯)にしたら、背景が真っ黒の一面記事には、かなり驚いている人もいるのではないだろうか。ネットでは再現が難しい、紙面ならではの芸当と言える。

f:id:fuwafuwaame:20200701175819j:plain

別料金を払えば1銘柄 or 九州産経の電子版を閲覧可能に。

 今日付の九州産経で、別料金を支払えば大阪目線のサンケイスポーツ夕刊フジ、あるいは九州産経のデジタル紙面を一読できるサービスを開始するという社告が掲載されている

 デジタルと言っても、基本的には配達不能時の代替手段としての側面(読売新聞・西日本新聞などと同じ)があり、産経の販売を代行している販売店西日本新聞毎日新聞など)に取り次ぎした上でのサービス提供となる。また、宅配のオプションサービスという位置づけであるため、紙媒体宅配は従来通りの口座引き落とし、または集金で対処する様子。