たいてい、こうしたネタの多くは「新聞が売れなくなったのは、新聞社が偏った変化球記事ばかり出すからだ」など、事実関係よりも主観を誇張する報道機関の問題点を取り上げる傾向にある。
だが、配達員の視点に立つと、全くそんなことは感じない。寧ろ、そうした「変化球」を楽しみに楽しみにしているご高齢の方ばかりで、宅配による紙媒体の流通で一日のライフサイクルを維持できている。ぶっちゃけ、部数低下が起きる理由は至ってシンプルで、
- 単に情報媒体の多様化が進んだだけ
- 速報が瞬時に伝わるネットの方が情報収集がしやすい。
- 一般的に、年寄りは電子版を使い切れない(全員がそうではない)
- 新聞の宅配を行うことで、朝が始まると思ってるご高齢の方が大多数
- シルバー層を中心とした顧客サービスを行う以上、余剰分の新聞発行を取りやめたり、通信販売などの広告に依存しなければならず、販売店の統廃合など、流通面での見直しを行う必要性があること。
- 若年層に限らず、普通のおっさんオバさんですら電子版で情報収集を行うのに、ワンテンポも遅れて、しかも政治的オピニオンしか載らない(≒ご高齢の方に遠慮した)紙媒体など送って貰われても困るだけ。
- そもそも「論調」はセールストーク
- 長期契約に対する返礼・顧客食い止めといった、勧誘に対するルールが厳しくなった。
こうした情報媒体の変化についていけない読者が一番の「お得意様」になっていることが挙げられる。
第一報を知るストレートニュース程度なら、別にYahoo!ニュースや新聞社の速報記事で十分事足りるし、たとえ新聞の記事が変化球であったとしても、国民の多くがニュースに接し、一定の仮定のもとで新聞記事を信用していることから察するに、単に流通形態が変化しただけとみるのが一般的。
「新聞は変化球だ、公正な報道などあり得ない」という前提条件で新聞記者(記者上がりを含む)に聞いたところで、当人たちは販売・印刷工場・新聞輸送の現場に携わっているわけではないので、内心は「いや、そう言われても……」と思っているに違いない。
新聞屋に入って7年目となり、最近になって社会保険に加入した自分にしたら、「部数低下は偏向報道の成れの果てだ!」という言説には飽きたし、寧ろ、部数低下の話を聞いただけで「またその話かよ、懲りねぇな」としてスルーしてる。どうせ10年ぐらい経てば、小口・多頻度顧客の年寄りもいずれ旅立っていき、人口減少で店をたたむ時が必ず来る。それまで粛々と新聞配達の仕事をしていればいいのだ。