そらマメさん鉄道局・流通局

鉄道旅行・新聞の流通考察・雑談がメイン。

秋の新聞週間(3) 夕刊が存続 or 廃刊になる条件

 今年は新聞紙の元となる原材料費が、円安効果とウクライナ情勢の絡みも重なって高騰したため、軒並みどの新聞社も値上げに踏み切っている。値上げしないことを主張している新聞社も、ページ数削減とレイアウト見直しで実質的に値上げしているため、コア読者には世知辛い年になったと言える。

 そんな中、今年は夕刊が軒並み廃刊に追い込まれた所も目立った。夕刊を廃止し、朝刊と一元化した新聞社は、

 の5銘柄(他にはセット体制での頒布を半ば諦め、朝刊単独への移行を自然と促す日本経済新聞もある)。

値上げしてでもセット体制を維持できなかった銘柄

 廃刊に至った経緯としては、前述の材料費高騰と配達環境の悪化による、供給体制の見直しが主たる理由。夕刊特有の速報性が現実とマッチせず、電子版への移行を半強制的に行わせた方がコスト削減に繋がるという理由で実施する傾向にある。

 一方で、セット体制を維持した状態で値上げに踏み切った事例もあり、西日本新聞朝日新聞毎日新聞産経新聞中国新聞やらはストレート値上げを断行している。

 夕刊が廃刊、または存続するかの条件として、競合関係にあるかどうかが鍵を握ってくる。前述の4銘柄に関しては、道新で全国紙と話にならん規模の供給部数で競合関係にある程度で、他は競合関係にない。静岡新聞がある静岡県内は、他紙も夕刊を発行していたが、これは静岡新聞が完全連続紙として発行していた関係で、他紙は渋々発行という流れだったからに過ぎない。

 一方、在福の西日本新聞は、朝日新聞社が値上げ社告を出して僅か数日のうちに値上げ社告を出している。価格上昇を回避するより、ストレートに値上げして価格帯を共通化させる方が共存共栄を図れるためである。結果、毎日新聞日本経済新聞も追従し、単純なセット供給では4,900円~5,500円(月極め)で売り捌かれている。値上げ後に読者が減少したのは致し方ないが、だからといって、一つの新聞社が離脱でもすれば、途端に読者不在を意味することになるため、どの新聞社も「やむなく」値上げして対処している。

 まとめると、

【廃刊になりそうな場所】

  • 競合関係がいない、もしくは他紙とあまりに掛け離れすぎている。
  • 材料費と今後の読者減少とを向き合った結果、削った方が長持ちすると判断できる場合。

【存続する場所】

  • 他紙と競合関係にあり、かつ、部数面でも五分五分の状態にある所。
  • 廃止することで、自社の読者不在を晒されるのが嫌だから。
  • 単純に経済的に余裕がある世帯が多いため。

 といった具合になる。後は単に、新聞社の体力がどれほどあるかにも左右される。

魔理沙「苦しい苦しい言うてるけど、発行できる余裕はある訳だから、皆が思ってる程経営が圧迫してるわけじゃないぜ」
霊夢「在福は今後も余裕で10年近くは発行できるはずよ」

 値上げで対処可能な場合はそれで乗り切り、どうしても発行が困難な状況に追い込まれた場合に限り、発行地域内の新聞社(販売店グループ)・印刷会社・物流業者と話し合って、供給体制の見直しに踏み切ればいい。