読売新聞では連日、AI(人工知能システム)を活用することで、人間が生活していく上で負の側面ばかりが誇張され、AIに脅かされるという話が掲載されている。読売だけならまだしも、朝日新聞や毎日新聞、更には本来は経済という前進主義的な発想になりやすい日本経済新聞ですら、AIの活用には否定的な見解を誇張する。
現に今のAIには版権が曖昧になって無秩序になることや、学習が悪いとフェイクニュースを粗製濫造してしまう問題点は万国共通であり、決して日本だけの問題とは言いきれない。そのため、業界の考えとしては、基本的に「取材にAIを使ってはいけない(戒め」という方針を採っている。また、今後もAIを活用した技術がどんどん拡大していくことから、日本だけでなく、各国とも連携して法整備・世界共通の取材ルールを求める声明は出している。
www.pressnet.or.jp 一方で、AI君を新聞業界が「全く」使わないかと言われれば、そうは限らないとみている。記者の人手不足が今後も続けば、例えば行政や企業からのプレスリリース(発表報道)程度のものであれば、AIで執筆させ、ファクトかどうかは校閲が行えばいい(残った人員で調査報道やオピニオン制作などに重点を充てる)。
また、いくら紙面の世界で「AIを弾圧せよ」叫んでも、それは取材・調査を行う部署の問題であり、経理事務や販売・印刷・輸送配達といった場面では、紙面とは無関係にAIが使われるものとみている。
たとえば新聞販売店がどんどん少なくなり、配達範囲が広大化している現状では、配達後の電話番の仕事を少人数の店員で対応するのはリソースの無駄である(寝たいんだよ!っていう人が多そうだ)。そうなれば、予め新聞販売店の一連の業務やコールセンターに寄せられる苦情・フィードバックなどをAI君に学習させ、AI君が電話番を行う。どうしてもAI君だけでは対応できない場面のみ、人員を使って行動すればいいので、少なからず配達制度を維持するのであれば、そうした手法も取り入れていかざるを得なくなるだろう。
AI君の導入をロコツに否定する理由を色々考えたが、多分、
- 単に取材記者が無関心
- 単に新聞社が無関心
- 年寄りばかりの読者にはちんぷんかんぷん(それだったら政権批判さえしてりゃOK)
- 取材記者も高齢化が進んで、新技術に無関心(保守化してしまう)
- 「新聞社の方針に沿ったAI君を学習させればいい」だけの問題すら分からない
- 人間が書くこと全てがジャーナリズムだと思ってる
- 「最近の若もんな……」の方が食いついてくれるから?
- 百歩譲ってAIを導入するにしても、まだ法整備や業界としてのルール作りが未完成のままであり、導入には1,000,000年早い。
と、まあ、こんな感じだろうか。
正直、AIいえども、基本的には「作業の効率化」に過ぎず、現状ではAIが人間を支配するというレベルにすら達していない。記者や新聞社(報道・調査部署)はSFモノの芸術作品を見すぎ・真に受けすぎてるのでは?と首を傾げることすらある。
もちろん、ザツに学習させて版権度外視のAI作品を粗製濫造させてしまうものも存在することから、そうなっては記者としても、更には報道機関としても、AIで版権違反と指摘されまくる無法地帯を回避させるのは当然のことだし、それに伴うルール作りを定めること自体には賛成である。
但し、だからといって、何もかも「AI君は全て悪」と決めつけ、否定してしまう論調・風潮とは距離を置いている。いずれAI記者と二人三脚になる時が来ますって。
ちなみに、AIで作った作品を実際に鑑賞してみると、元の原作者の特徴やらが割と簡単に見破られてしまうため、所詮は見よう見まねで作ったモノだなってのがスグに分かる。