そらマメさん鉄道局・流通局

鉄道旅行・新聞の流通考察・雑談がメイン。

秋の新聞週間(5) 2024年問題への対応

戸別宅配を通じて民主主義とジャーナリズムを堅持する以上、2024年問題からは逃げられない。

 2024年は、物流・輸送業者の労働改革が政府主導で実施されるターニングポイントの年である(いわゆる「2024年問題」)

www.mlit.go.jp 朝日新聞毎日新聞東京新聞共同通信(加盟社)あたりは、まあ、2024年問題で国民の生活が~みたいなノリで、臨時・通常国会の期間中に反対デモ・抗議活動を行う活動家や労働者っぽい人の記事を占有するものとみている。まあ、的外れな発言を行う「ガス抜き役」だろう。

 2024年問題における持続可能な流通体制(政府方針)をまとめると、

【本来の原因】 元々、トラック運転手の人員が少なく、慢性的人手不足が続いている。結果として、荷物の輸送が不能となり、必要な物資運搬が出来なくなる。

【解決策:トラック事業者と荷主が取り組むこと】

  • 予約システムを導入し、出荷・入荷受け入れ体制を見直す。
  • パレット化による手荷役作業の削減、情報の共有化・業務効率化の推進
  • 長距離輸送は中1日を空け、空気輸送を避けた満載での効率的輸送を実施

【解決策:荷主が取り組むこと】

  • ドライバーの労働環境改善や働き方改革に対応するため、適切な輸送運賃を収受(実質的な配送料値上げ)。
  • 燃料サーチャージや付帯作業料金、高速道路利用料金の負担

【解決策:消費者】

  • 再配達をしなくていいよう、置き配や確実に受け取れる日時・場所の指定を推進。
  • 注文回数を減らす(出来るだけ1回で済ませる)よう、注文時の操作に注意。

 とまあ、こうなる。今までが野放しすぎたため、政府・業界揃って足並みを揃え、労働環境を少しでも改善するように行う、全う当たり前のことである。

 新聞業界もこの問題を回避することは出来ない。記者職は無関心だろうが、紙媒体の新聞を持ち運ぶ物流業者・新聞配達員にしてみれば、労働環境の改善へ向けて輸送形態を見直す必要があることから、どんなに紙面の世界で猛反対した所で、政府方針に沿って従わなければならない。

 新聞業界が2024年問題に対応するとなれば、下記のことが想定される。

  • 銘柄の配送を新聞社系列ではなく、一旦、中継ポイントで全銘柄集約させて、再配送を行うように変更。特にグランドスラム店では様々な銘柄がバラバラに届くため、タイミングが悪いと銘柄が異常な遅配を起こすことがあり、配達に支障を来す。セット体制を堅持する場合も同様。
  • 配達コストを輸送業者・新聞販売店にも還元するよう、購読料金を大幅に値上げする。
  • 配達コスト上昇による夕刊発行が困難かつ、セット体制は維持したい場合は、朝刊の第2部体制として供給するように見直し(中国新聞SELECTっぽくする)。
  • 駅売り・コンビニ売り向けの即売を、即売業者から新聞販売店に完全転換し、輸送の非効率化を回避。
  • 一回刷り→一回輸送を確実に行うため、遠方・近距離関係なく締切時間を大幅に繰り上げ、遅くても全社揃って23時台で締め切る。
  • 配達が待ちきれない読者向けに、新聞販売店に専用のコインロッカー(私書箱)を設置し、各自受け取りが出来るような仕組みを導入。
  • 誤配・遅配を回避するため、スマートフォンによる配達ルート・投函確認システムを導入。

 「電子版があるから、電子版への移行を進めるべき」という意見もあるが、第1回目の話でもした通りに、日本の新聞は宅配サービスあって成立している訳であり、ジャーナリズムと並行するかどうかは新聞社の思惑に左右される。一方、宅配事業を行う以上、配達員や新聞輸送業者の人手不足・労働改革を確実に行うことは必須条件である。

 2024年問題を機に、日本の新聞社が電子版に完全に移ってしまうことなど100%あり得ない。表向き紙面では相変わらずワンパターン的に騒ぐだろうが、記者職を支える裏方の存在をどうか大切にしてあげて欲しい。

 新聞週間なので5回に渡って色々語ってきたが、論調や記者の暴走はあれど、新聞そのものに対する需要は根強く存在する。色々愚痴が出るというのは、それだけ紙媒体・デジタル媒体関係なく信頼されていることの証である。なので、2023年度下半期以降も仲良く・生暖かく接していきましょ。

フォロワーさんに聞いた「新聞の意識調査」

 貴重な回答ありがとうございました。