そらマメさん鉄道局・流通局

鉄道旅行・新聞の流通考察・雑談がメイン。

新幹線契約乗車票(マル契)

 この前の関西1デイパスを活用した京阪神旅行において、最大のネックだった「新幹線往復+宿泊先の確保」は、どのようにやったかという話。

 結論から言えば、旅行会社が企画する「のぞみ往復+指定されたビジホに泊まれる旅行券」を、地元の代理店に依頼している

JTB代理店が発売した旅行券の一例

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乗車「票」。きっぷではなく、旅行券である。

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新幹線指定券(九州新幹線・つばめ300号)
ガラガラの「つばめ」であっても、必ず指定席に着席する必要がある。

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のぞみ8号東京行き指定席券

 上記3枚のきっぷは、筑後船小屋→新大阪へ向かう片方向分の旅行券。乗車票となっている部分をよく見ると、「契」という文字列が刻まれているが、この部分はJR各社と契約している旅行代理店が発売する旅行券扱いであり、JR九州JR西日本が発売する乗車券ではない(通称「マル契」「契約乗車票」)

 旅行券のおねだんは、通常の新幹線利用時よりも大幅に安く抑えられているケースが多く、繁忙期・閑散期・通常時の3パターンで価格を変動調整させる。

 その反面、旅行券の多くが「乗り遅れたら即OUT」「自由席乗車禁止(後発列車もNG)」というルールを課していることが多く、途中下車なども一切できない。私が注文した上記の旅行券は、「乗り遅れたら後発列車の自由席に着席可」という特約がくっついていたが、基本的には希である。

 つまり、乗車経路がガッツリと決まった条件にご納得して戴ける場合に限り、発券される。

乗車票の受け取り

 旅行代理店で手配・契約すると、その場でQRコードが印刷されたプリント用紙が渡される。これを新幹線駅に設置された指定席券売機(MV50)で読み込ませれば、スグに乗車票が発行される。以前はみどりの窓口で発行してもらうか、もしくは郵送で旅行代理店に配達してもらう方法が存在した模様(自宅に宅配してもらう乗車票もある)。

実際に乗車してみた

 7時1分発の「つばめ300号」に乗車したあと、博多駅で13番のりばに移動して、7時36分発の「のぞみ8号」に乗車。この辺は「ガンジツスゴクオモイシンブン」の時にお世話になるため、難なくクリア出来た。但し、途中下車が全く出来ずに新大阪まで缶詰になることや、COVID19流行に伴う車内販売が取りやめになっていることから、事前にドリンクを大量に購入して移動している。

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「つばめ」特有の800系と見せかけて、「さくら」向けN700系JR西日本版。

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旅行屋向けの12両目。COVID19の影響で全く売れず、新大阪までこんな感じだった。

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取りあえずドリンクは大量に確保。コレでどうにか新大阪まで持てた。

ぷらっとこだま」「バリ得こだま」は、この原理を応用したもの

 「ルールは異常なまでに厳しいが、その分、安く乗車できる」という、先ほどの契約乗車票(旅行券)の仕組みを応用したものが、JRの旅行代理店が発売している、例のこだま向け旅行券であるJR東海ツアーズの「ぷらっとこだま日本旅行の「バリ得こだま」)

 これは事前に特定の新幹線車両(だいたい1~3両程度)の座席を、予め旅行会社側が大量に仕入れておき、その部分を格安で発売するというもの。新幹線の空気輸送対策にも繋がる上、旅行券と同じ動きをするため、縛りは異常なまでに厳しいものの、普通に新幹線を使うよりもかなり安く乗車することが出来る。

「2人縛り強制」のJR西日本管内ではありがたい、オトクな旅行券

 今まではeきっぷの活用や、18きっぷによる在来線区間の移動などで、少しでも安く移動する方法を模索してきたが、通勤・通学以外でのソロ利用に消極的なJR西日本のことなので、ダイヤ大幅見直しやトクトクきっぷの2人縛り強化などで締め付けを行っている。

 となると、正規運賃で移動するのは、余程の急ぎでない限りは得策ではないと判断。今回は旅行代理店の力を借りて移動してみたが、ちゃんと出発時刻と乗車経路を守れればナニも言われないため、案外、これを使う方が良いのかなとも思った。

 ちなみに、NEXCO西日本管内で最も到達が難しい沖縄道に関しては、問答無用で「飛行機往復+レンタカー2日間+ビジホパック」が必須になるため、予め、今のうちから旅行代理店の力を借りて移動することも慣れておいた方がよいと思うようになった。同時に、今回はJTB系の旅行代理店だったが、これから先はJR西日本が指定する他の旅行代理店日本旅行近畿日本ツーリスト・阪急交通社・読売旅行など)の力を借りて移動してみようかなとも思う。

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岡山より東側は、旅行代理店の力を借りて移動するのが、ほぼ必須条件だと考えるようになった。

関西1デイパス

www.westjr.co.jp

 JR西日本では、京阪神の日帰り旅行に最適な「関西1デイパス」が発売されている。

きっぷ

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夏の関西1デイパス(2021年発売分)

きっぷのルール・特約(2021年夏の場合)

  • 利用人数:1人~
  • 利用期間:2021年6月1日~8月31日
  • 発売期間:2021年5月25日~8月30日
  • 利用できる日:発売期間中はいつでも利用可能
  • 有効期間:利用当日のみ
  • 発売箇所:e5489やみどりの券売機で、事前予約。
    (事前購入制で、出発日の1ヶ月前~前日まで受付)
  • 利用可能区間JR西日本が指定する在来線が1日乗り放題
    ※特典を利用する場合は、指定された他社線区間も条件付きで乗車可能。
  • 乗車できる列車:新快速・快速・普通列車
    ※特急列車の場合は、別途、特急券(+指定券)を購入すれば乗車可能。
    山陽新幹線はご乗車になれません。
  • おねだん:(おとな)3,600円 / (こども)1,800円
  • 重複割引:ございません
  • 特典(1):付属する引換券を他社線の窓口に見せることで、指定された他社線の乗車券と、その付属施設への入場券(または割引券)と交換(1枚の交換で1回切り)
  • 特典(2):JR西日本の関連施設である「京都鉄道博物館」への入場が1割引。
  • 特典(3):JR西日本が指定する観光施設の入場料などが割引に。
  • 特典(4):レンタサイクル「駅リンくん」が1日乗り放題(乗り捨てた地点で前途無効)

他社線と、その付属施設の観光を行うことを前提とした乗り放題きっぷ

 見ての通りにJR線(アーバンネットワーク管内)が乗り放題になるだけでなく、指定された他社線とその関連施設・観光地へのアクセスをサポートする引換券がセットになっている。発売当初は単にJR線のみか、JR線と直接的に繋がる一部の施設に限定されていたが、後に他社組京阪電車近鉄南海電鉄・神戸市営+神戸電鉄近江鉄道や、京阪グループの大阪水上バスも参入する形で使用範囲が拡大していき、現在に至る。

 関西人の日帰り旅行をアシストするきっぷだが、e5489で事前予約が出来るという長所を活かし、他の地方からの観光利用にも最適である。反面、e5489・指定席券売機のどちらかで使用日の前日までに予約することが前提となっており、当日購入が出来ない。この辺は出発前までに入念に確認することが大事である。

 なお、特典を使わずにJR線のみのフリーきっぷとして使うことも可能だが、あまりそれに依存しすぎると、JR西日本お得意の「2人縛り」を発動する恐れがあるため、特典が付属する以上は最低限のマナー(?)として引換券を発動し、他社線+関連施設を確実に利用することを勧める。

 2021年夏の関西1デイパスでは、下記の他社線・関連施設のどれかを選べる。

今回は「京阪」「神戸」をチョイス

 大阪までの行き来は旅行代理店が手配した「のぞみ往復きっぷ(ビジホつき)」で移動し、京阪神エリアは関西1デイパスを1日目・2日目でそれぞれ別に事前予約した。

 1日目は比叡山延暦寺に登ろうかとした。山科駅にある京阪電車側の窓口で引換券を発動し、乗り放題きっぷと交換する形で京阪電車に乗車。びわ湖まで出たは良かったが、そこでエラい雨が降り出して「うわー、イヤだなぁ~」ってオチになり、惨敗。ちゃんと晴れた日に行こうね……。

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京阪電車。……なんとな~く、西鉄電車のアレに似ている。

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大津市側に入ったら、急激にスピードが落ちた。
なんで?と思ったら、いつの間にか路面電車になってやんの。

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びわ湖駅の近所からびわ湖を眺める。パッと見、海ですやん。

 ちなみに関西1デイパスには、びわ湖を一周できるクルーズ船の乗船割引も備わっているため、ちゃんと晴れていれば船に乗って鳥人間気分を味わっていたと思う。

 2人目は風呂に入りたいという理由で有馬温泉へ。地下鉄三ノ宮駅で、地下鉄・神鉄往復券+入浴施設割引券と交換し、JR線→地下鉄→神鉄の順番で乗り継ぎ。有馬温泉駅に着いた途端、ココはホントに「こ~べ~」なのか?と思うくらい、自然に溶け込むように温泉街が集中していた。

 金の湯という温泉に入ってみたが、正直、かなり熱い。比較的低温のぬるま湯でも44度なので、コレならサウナ必要ありませんな。他の風呂にもチャレンジしようとしたものの、かえり新幹線に配慮し、早めに大阪・梅田に戻ってしまった。

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神戸電鉄も初めて。車体は……四国で見たような気が。

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有馬温泉街。一応、ココも神戸市内。

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鉄分豊富な「金の湯」。かなり高めのお湯なので、暖まりますよ。

 なお、今回は関西1デイパスに付属する京都鉄道博物館の入場料割引も使ってみた。新大阪→京都に向かい、山陰線最初の梅小路京都西駅から徒歩数分の距離にある。ラストランとなった環状線103系をマグロ解体したモノや、初期の0系新幹線模型など色々楽しませてもらったが、一番興味深く拝見したのは、改札業務・MARS端末発券の所だったかな。

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京都鉄道博物館。ここのお土産屋で、写真にもあるペアイコちゃんを入手。

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0系新幹線。イコ一家と記念撮影。

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初期のMARS端末

関西をじっくり旅行したい人にお勧め

 他社枠も設ける形で、京阪神地域の観光施設を巡れるオトクなきっぷであり、逆を言えばJR線乗り潰し目的で使うきっぷと言えるかは微妙。完全なJR線乗り放題は18きっぷに委ね、純粋に「関西の観光地と言ったらあそこ!」という人には最適だろう

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(イコ)ちゃんと大阪駅(梅田)の近所もウロウロしたので、「京都・大阪・神戸 三都物語や!
(スマイコ)京都嵐山・金閣寺清水寺・道頓堀・神戸の街並みが入っとらんわ。

 ただ、1回の乗車で他社線が1つしか選べないと言うのがネック。また、1日目が悪天候というのも重なり、どこか消化不良に終わった感がある。またいつか関西に出向いた時は、今度こそ高野山比叡山に登りたい。

福岡県の新聞流通考察

 在福の新聞流通話があまりに点々としていたことから、西部本社管内の「シメ」ということで、福岡県内の新聞流通を1つの記事にまとめることにした

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福岡県内の新聞。西日本が天下を取ってるわけじゃないのがポイント。

福岡では「西日本」、北九州では「全国紙」

 後述の通り、福岡県を筆頭に北部九州のブロック紙として君臨する西日本新聞社が福岡市にあるものの、福岡県民が愛読している新聞は、必ずしも西日本とは限らない。寧ろ、北九州・京築・筑豊の一部では全国紙の勢いが強く、その地域で西日本を購読している世帯は少ない。

 また、福岡・筑後地方では西日本の勢いが強いとされるが、実際の発行部数・宅配普及率で換算すると、意外と読売新聞・朝日新聞毎日新聞とのシェアは「五分五分」と、ほぼ均等化されている。そのため、「福岡(県内)の話は西日本、全国の話題は全国紙で」と棲み分けて購読している客層も数多く散見される。

福岡県内の取材拠点

西日本新聞
  • 本社:福岡市中央区天神1-4-1
  • 北九州本社:北九州市小倉北区堺町1-2-16
  • 東京本社:東京都千代田区有楽町2-10-1
  • 大阪支社:大阪市中央区北浜2-1-23
  • 総局:飯塚・久留米・佐賀・長崎・熊本・大分
  • 支局:宮崎・鹿児島(福岡県内にも複数の支局あり)
  • 印刷工場:福岡市博多区井相田2丁目1-60
読売新聞西部本社
朝日新聞西部本社
毎日新聞西部本社

西日本新聞

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西日本新聞

 ルーツは1877年に創刊された「筑紫新聞」。その1年後に「めさまし新聞」(→「筑紫新報」)が創刊され、1年後の1880年に2つの新聞が合体して「福岡日日新聞」が誕生する。

 これとは別に、現在の日本における右翼団体のもととなった玄洋社が発行した「福陵新報」があり、後に「九州日報」と改題される。九州日報は一時期、読売新聞の仲間になったが、1942年の一県一紙令で九州日報を福岡日日新聞が飲み込んだ上で、「西日本新聞」と改題される(西部本社管内の読売新聞と西日本新聞が、今でも犬猿レベルで仲が悪いのは、この事件が発端という見方もある)

 戦後はブロック紙としての要素を高めていき、九州全域、さらには沖縄県山口県にまでエリアを広げたこともあった。その後は沖縄→山口→南九州の順番で発行が取りやめになっていき、現在は建前としては九州のブロック紙と言いつつ、実際には福岡県内の新聞であることを強調する姿勢に転じている。

 元々が福岡市(都市圏)の新聞として出発した歴史的経緯から、福岡市と経済圏・文化圏が似ている筑後地方・佐賀県長崎県壱岐対馬では一定のシェアがある一方で、後述の全国紙参入の経緯がある北九州・筑豊・京築では、未だに全国紙の勢いが強い。北九州本社に格上げして、そうした福岡県北東部の取材強化も図ってはいるが、限定的である。

ネットとの融合を意識した紙面編集

 2018年1月1日付より、読者からの疑問に答える調査報道(あなたの特命取材班)がスタート。基本は紙面閲覧だが、ネットユーザーの多い現代社会において、読者(あな特通信員)からの疑問に答える形で、身近なニュースを取り上げる仕組みを導入している。チョッと前に大問題になった、かんぽ生命保険会社の不正勧誘疑惑も、元々はココにチクった局員が発端となっている。

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ココで出てくるアナグマは、東京五輪のマスコットキャラクターをデザインした方が描いている。

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(あなとくちゃん)……JPって何屋さんなんだ?

地域欄

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同一県内で4地域も分かれている。

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地域面は一時期、2~3pもあったが、現在は1p+福岡県総合1pの構成が多い。

 地域欄は「ふくおか都市圏」「筑後」「北九州・京築」「筑豊」の4ブロック体制になっており、購読した地域によって紙面構成が変わる。一時期は他紙に対抗したり、県民に根付かせようと2~3ページ構成を施したこともあるが、現在は地域欄1ページ+福岡県総合1ページで対処することが多い(日によって異なる)。

全国紙

 西部本社の拠点は、全て福岡市内に集約されている

 「西部」は聞き慣れない言葉だが、戦前は門司港が「西部」の中枢拠点であり、大陸植民地への玄関口として栄えたこと、戦後は北九州の工業都市として本州への玄関口として栄えたことの証。大陸植民地というのは、いわゆる満州国を名乗っていた地域朝鮮半島・中国の一部・ロシアの一部)であり、西部の拠点となる門司で印刷を行い、そこから船や陸路で輸送していた。

 エネルギー革命や戦後の産業変化に伴って、徐々に北九州市の勢いが落ちていき、逆に商人気質の福岡市が飛躍的に成長を成し遂げていく中、朝日新聞・読売新聞は早々と福岡市に編集拠点を移動し、最後まで残った歴史ある毎日新聞も、本社の機能を小倉に残す程度で福岡市に移転している。

 本社と取材総局(編集部)が別々に分かれているのは、毎日新聞朝日新聞。どちらも福岡市に移動しているのは読売新聞。元から福岡市に総本部を置いているのは、西日本新聞日本経済新聞産経新聞、という構造になる。

 ちなみに朝日新聞毎日新聞は、どちらも「登記上」は北九州市小倉北区に本社を構えているものの、現状は単なる取材拠点の一つに過ぎない。朝日新聞はリバーウォーク北九州と一体化し、毎日新聞は社屋そのものが北九州市の商工会議所としてテナント貸ししている。

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読売新聞・朝日新聞の地域欄。シンプルに4ブロック体制。

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毎日新聞は「京築」が独立している(紙面構成は同じ)

 福岡県内の地域欄は、銘柄によって微妙に異なる。読売新聞・朝日新聞は九州総合の形であと1ページ加わり、毎日新聞の場合は読者層に配慮して、北九州・京築・福岡の3地域のみ、3ページ体制で編集される。

 地域欄の構成は西日本と同様、「北九州」「筑豊」「福岡」「筑後」の4ブロック体制だが、毎日新聞に限り、「京築」が独立して存在する(紙面の中身は北九州版と同じ)

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産経新聞は「九州・山口」ぜんぶ合わせて1ページ。

 ちなみに、後発組で参入した産経新聞に関しては、元から地域欄が「九州・山口総合」として1ページのみに留まっている。以前は日曜日も地域欄を載せていたが、後に日曜掲載は削除され、産経新聞社を含めたフジメディアHD関連のコラム・文化面補強に差し替えられている。

 また、日本経済新聞も「九州総合」として、主に福岡市に本社を置く地場産業の話を1ページで紹介する枠があり、事実上、その部分が地域欄として機能している。

番組表

ロコツな「新聞社の傘下が左」

 西部本社管内のテレビ番組表は、他の在京・在阪と異なり、新聞社の傘下にある民放が左側に来るという構図になっている。地デジ化した後もその法則に基づいている。

新聞の第1テレビ欄

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夕刊の発行について

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需要はないが、セット体制が見込まれるので発行してる。

 在福の人口が約510万人を超え、夕刊を含めたセット版を発行しても、ある程度ペイできる土地柄にあることから、夕刊の発行を続けている。ただ、紙面編集は専らオピニオンに傾いており、しっかりとした福岡・全国のニュースは朝刊にリソースを充てていることから、「お付き合い程度」(我慢比べ)に発行しているのが現状である

 西日本新聞も、希に前述の特命取材班のネタを出すことはあるが、基本的にはほぼ全ての記事が共同通信のコラムで占有されている。この辺は他の地方紙と同じ。

毎日新聞 購読料値上げ

www.mainichi.co.jpfuwafuwaame.hatenablog.com↑の話も参照。

 朝日新聞に次いで、毎日新聞も7月1日付から購読料を値上げする

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値上げはジャーナリズムの礎。ご理解を。

発売価格

  • セット版 4,037円→4,300円
  • 統合版 3,093円→3,400円
  • 一部売り(朝刊) 150円
  • 一部売り(夕刊) 50円

 一部売りの価格が変わらないのは、約1年ほど前に引き上げているため。その時は軽減税率適用でどうにか乗り切れたが、最近の毎日新聞社の非常に不安定な経営環境が響いているためか、聖域とも言える月極めにもメスを入れた格好となった。セット版では他紙と同様の価格にすると差別化が図れないため、後述の別紙の発行見直し・統合化も視野に、幾分安く設定して、購読者の引き留めに腐心している様子が窺える。

オピニオン主体の日曜日版新設

 比較的ニュースが少ない日曜日の紙面デザイン・構成を大幅に見直し、読者交流コーナーや調査報道・パズル面の一極化などを施す。ニュースは平日で対応し、日曜日はオピニオン重視の構成に近づく。

 また、毎日小学生新聞の一部記事を毎日本紙でも抜粋・掲載するように見直す方針で、見方を変えれば、毎小自体の休刊も視野に入れている可能性が高い

 気掛かりだったのが今日の中面にある「大学ランキング」の部分。これは系列誌のサンデー毎日お得意の話であり、わざわざ毎日本紙で紹介する程のモノかと一瞬疑った。もしかしたらサンデー毎日そのものも統廃合になる可能性も否定できない不定期で毎日本紙でも実施しているのかもしれないが、購読料値上げ・紙面見直しと重なると、済し崩し的に再編と思われてしまう)

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単なるレッテル貼りレベルの、サンデー毎日お得意の「なんでも大学ランキング」。
これを毎日本紙でやるかって。。

 デジタル版は従来通り、宅配利用客はこれまで通り無料で閲覧可能(配達不能時の代替)。別料金で「医療プレミア」「政治プレミア」などが閲覧できるのも今まで通り。電子版のみの契約も継続する方針。

今日は新聞休刊日です。(2021年6月14日)

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今日は新聞休刊日となっております。

 おはようございます。本日、2021年6月14日は新聞休刊日です。休刊日のため、朝刊の発行はございません。夕刊発行地域では夕刊を、統合版地域では翌日の朝刊をお楽しみに。

朝日新聞 購読料値上げ ◇

www.asahi.com 今までは軽減税率適用+ページ数の大幅削減(最大40p→28p前後)でごまかしてきた朝日新聞だが、ついにギブアップ。7月1日から購読料の直接値上げに踏み切る

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ステルス値上げも限界。

発売価格

  • セット版 4,037円→4,400円
  • 統合版 3,093円→3,500円
  • 一部売り(朝刊) 150円→160円
  • 一部売り(夕刊) 50円→60円

 一足先に値上げした読売新聞では、一部売りの価格を値上げ前の朝日新聞と同じ価格(150円)にした上で、夕刊の発行がない地域においては3,400円で調整している。朝日新聞はこれよりもやや割高な価格設定にしており、他紙同様、配達困難な状況の改善やプリントコスト上昇分の転換に割り当てる方針となっている。

デジタル版の実質値上げ

digital.asahi.com

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朝日新聞デジタルより引用

 1記事買い切り型の朝日新聞デジタルに関しては、それまでの「シンプル」を「ベーシック」と名称変更した上で、9月8日から毎月300本を50本に大幅規制する。代わって、疑似的なSNS機能を利用できるように改善。これにより、価格は1ヶ月980円はそのままに、実質的な購読料が上昇する格好となる。

スポーツ紙の本体値上げに注目

 どの新聞社もステルス値上げでごまかしてきたが、読者層の変化(高齢者・活動家・市民団体相手が主体となる読者層、それに伴う極端な忖度の進行)や、配達環境の急激な悪化・COVID19流行に伴う販売店の統廃合(委託化)が進み、間接的な値上げだけでは賄いきれない状況が続いている。

 残るはスポーツ紙の定期購読ユーザー向け。朝日新聞が直接値上げの方向を示したため、まだ値上げしていない新聞社も追従を余儀なくされるのは避けられそうに無さそうだ。

新聞の好き嫌いと、配達業務は別として考えるべきだと悟った、7年目の私。

 今更感があるが、今年の2月で販売店入社から7年目となった。

 この間、購読料値上げや販売店の統廃合・余剰紙の削減・チラシ収入の減少・集中豪雨や台風接近に伴う命の危機・読者の減少(高齢化)など、実に様々な経験を繰り返してきたが、無事に入社日を過ぎた後も普通に配達業務をこなしている。

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どんな事態があっても、普通に配達をこなす。

 都心部では部数の減り方が異様じゃないほど減少していると聞くが、私が住む長閑な農村部・田舎では、紙媒体の新聞をこよなく愛する高齢者ばかりなので、極端に部数が減少するといったことは殆ど起きていない。購読料値上げが2018年~2020年にかけて相次いでラッシュとなったものの、元々が紙媒体とテレビのワイドショーに慣れっこの高齢者ばかりなので、値上げによる購読者減少は皆無。減るとするなら、孤立や病気の悪化で死去し、それに伴って自然解約を余儀なくされるか、または他紙の販売店との契約切り替えで若干部の増減がある程度である。

 色々と新聞業界の先行き不透明な暗い話題が相次いでいるものの、そう言いながらも新聞配達をいつも通り行えるのは、読者減少に左右されにくい環境にいることや、オーナーをはじめとした販売店のサポートもさることながら、7年目という長期の仕事を経験する上で、「誤配しない・汚さない・時間内に配達を完結する」といった基本的なことを淡々とこなしているからに他ならない。

 ネット上では記者職の人や、記者上がりの人と思われるツイートなどで、色々と業界の愚痴を吐いている。確かにレガシーとも言える紙媒体の固執を続ける限り、ますます読者との敬遠が激しくなる一方なのは事実だが、あんまりその人の意見に介入・同意するのも、チョッとどうかな~と思うようになった。「あくまで日本の新聞は(一介の配達員の視点からすれば)宅配サービス業なんだから、そういう意見もある」という程度で、情報収集を行いつつも、適度に流している。

 「五輪が制限付きで開催されるにしても、終わった後の新聞は……」と考えてはみたが、

 

 「意外と生き延びるんじゃねーか?」

 

 という結論に達している。これは単純な話、読者層が高齢者に偏り、その人たち向けに宅配ビジネスを行うことでどうにか延命できている訳だから、購読料の値上げや印刷時間の繰り上げ・報道主体からオピニオン主体の読書ツールへの転換、シニアサービス向けの情報などに内容を変えていけば、少なくともリタイア世代も含めた紙媒体の宅配は、あと10~20年程度は続くと考えるから。「そこまで持たねーよ!」という声もあるが、私みたいな田舎では早々減少することはないため、しばらくはこの状況が続くだろう。もちろん、油断は出来ないが。

 一部の新聞社が「事実より主義主張」「報道の自由を盾にすれば、公益性は守られるんだ」など寝言を言っているが、言い換えればソレは読者離れの深刻化の裏返しでもある。名指しはしないが、私の所は合売店なので、一部の全国紙も普通に配達している。一方で、そうした「何となく反権威」を楽しみたい高齢者や活動家がいる以上、それなりに需要がある訳であり、その手の読者は引き続き紙媒体の新聞を購読して下さる「確約」が得られるため、配達の仕事も延命できるのだ。

 最大手の全国紙は、しぶしぶ電子版の配信を開始したが、本音は「電子版の廃止・紙媒体原理主義の徹底化」だろう。これは私見だが、電子版の導入に踏み切った理由は、読者離れというよりかは、販売店や配達員の減少で昔みたいに早版・遅版(版番調整)が行えなくなり、地方紙の印刷工場委託も含めて紙媒体の配達に余裕が無くなってきているからだとみている。合売化が更に加速すれば、最新ニュースを取り込むのも面倒になり、ジックリと読める分析記事・解説記事・オピニオンだけで構成する紙面を作った上で、配達時刻も昔みたいに朝早く配達するのを義務化する必要も薄れる。

 だとすれば、全国紙・地方紙も「どこが最初に特ダネを報じるか」→「急いで印刷し、配達しろ!」といったメチャクチャなやり方は無くなり、いわゆる「調べてみました」モノや共同通信から送られてくるコラムもので紙面を構成すればいい。配達原理主義を守る以上、人材を上手く確保し、編集サイドも負担が掛からないように調整し、細々と延命していく流れになっていくとみている。

 「モチベーションやインセンティブは落ちるが、配達の仕事が廃止されるよりかはマシ。仕事が出来るだけでも有り難く思わないと。」

 このように悟りを開き、もしも販売店の維持が不能となって廃業した場合は、改めて考え直せばいい。記事の中身や業界の理不尽さでイラつくことはあっても、結局は仕事をする以上、超えてはいけない一線の範囲内で黙々と配達業務を行うことに徹するしかない。8年目・9年目の私は、どのように考えているのだろうか。

 

↓参考にしている、一番肌に合う書籍

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)