COVID19の流行に伴い、山陽新幹線の利用客が大幅に減少していることから、利便増進事業の一環としてJR西日本が期間限定で発売したきっぷが2種類ある。
一つは今回取り上げる「山陽新幹線 近トク1・2・3きっぷ」。もう一つは「新幹線直前割50きっぷ」(これは別記事で)。
きっぷ
きっぷのルール・特約
「ぜんぶ3駅」とは言っていない。
山陽新幹線を、最大3駅まで利用できるトクトクきっぷ。正確には、JR西日本が定める営業キロが120キロ未満の範囲内に留まる場合に限り、最大3駅まで利用可能と規定されている。このため、乗車区間によっては、どうしても1~2駅で完結してしまうケースが出てくる。
運賃が1区間(≒40km未満)1,000円・2区間(≒80km未満)1,500円・3区間(≒120km未満)2,000円とかなり割安である反面、指定席に乗車することは出来ない。
【駅別乗車可能な範囲内】
- 新大阪:新神戸・西明石・姫路
- 新神戸:新大阪・西明石・姫路・相生
- 西明石:新大阪・新神戸・姫路・相生
- 姫路:新大阪・新神戸・西明石・相生・岡山・新倉敷
- 相生:新神戸・西明石・姫路・岡山・新倉敷
- 岡山:姫路・相生・新倉敷・福山・新尾道
- 新倉敷:岡山・福山・新倉敷・新尾道・三原
- 福山:岡山・新倉敷・新尾道・三原・東広島
- 新尾道:新倉敷・三原・東広島・広島
- 三原:福山・新尾道・東広島・広島・新岩国
- 東広島:新尾道・三原・広島・新岩国
- 広島:三原・東広島・新岩国・徳山
- 新岩国:広島・徳山・新山口
- 徳山:広島・新岩国・新山口・厚狭・新下関
- 新山口:新岩国・徳山・厚狭・新下関・小倉
- 厚狭:徳山・新山口
- 新下関:徳山・新山口
- 小倉:新山口のみ
基本的には新山口よりも西側の区間は、最大で小倉駅まで乗車することが出来るように勘案されている。博多駅まで到達しないのは、土日祝日限定で発売される「新幹線よかよかきっぷ」との重複を回避しているためとみられる。
実はどの列車に乗車してもOK
公式サイトでは、こだま・ひかりに使われる500系・700系の写真が掲載されているモノの、あくまでも自由席限定なので、のぞみ・さくら・みずほに乗車してもOK。従って、各駅停車タイプの駅では、絶対的に時間短縮効果が見込める場所以外では微妙な一方、逆に「のぞみ」「さくら」「みずほ」が停まる駅との間では、断然有利である。
これを勘案すると、安くて時間短縮効果を思う存分発揮できる線区は、下記になるだろう。
【間違いなく時短効果を発揮する線区】
- 姫路駅~岡山駅:のぞみ・さくら・みずほ停車駅。途中の相生をトバし、県境区間の蛇行区間をパスできるため。
- 広島駅~徳山駅:並行する山陽本線が遠回りするから。
- 新山口駅~小倉駅:のぞみ・さくら停車駅であり、かつ、山陽線の本数や下関駅での乗り換え・接続性がメチャクチャ不便であるため。恐らく、コストパフォーマンスの面では、この線区が最強。
【並行する在来線と、ほぼトントンに終わる線区】
- 新大阪・新神戸駅~姫路駅:新快速で十分
- 岡山駅~福山駅:1時間に3本程度だが、両駅間はそれほど離れていない。
- 三原駅~広島駅:糸崎・三原~白市の1時間2~1本縛りや、いわゆる「セノハチ」を回避したい場合には有効。
- 厚狭・新下関駅~小倉駅:下関駅での乗り換えの煩わしさを回避するなら有効。
それ以外は微妙。
感想
行きがけは直前割50を使ったものの、500系こだまが約1時間かけて博多→新山口を行き来するのに対し、かえりはN700系のぞみで小倉駅まで戻ったため、所要時間たった15分で九州に帰ることが出来た。自由席もCOVID19の流行に伴って、政府の自粛要請を受けているためか、余裕で座れた。元々が広島以西の「のぞみ」が空席になりがちなのもあったが、上限2,000円で小倉までワープ出来るという面では、他の線区以上にコストパフォーマンスが高いとみている。
あくまでもCOVID19流行が収まるまでの間の時限措置に過ぎないが、チョッと気軽に、そして三密回避を徹底した上で隣県を散策しようと考えるなら、このきっぷは断然オトク。