www.nishitetsu.jp JRグループのダイヤ大幅見直しばかりが注目されるが、福岡都心と筑後の大動脈である西鉄電車にも大ナタが入る。
ダイヤ大幅見直し
最終列車の繰り上げ
JRグループをはじめ、鉄道事業者が夜間に実施している鉄道工事に対する負担軽減や、新型コロナウイルス感染症(COVID19)流行に伴う労働・生活環境の変化に対応するため、最終列車を最大30分ほど繰り上げる。
データイムの特急列車取りやめ
11時~15時台に運行される特急列車を急行列車に格下げ。たとえば福岡天神を起点とする特急があっても急行に変更となる。
「土曜日」枠の新設とダイヤ見直し
土日祝日のダイヤも、利用実態が異なることから「土曜日」と「日祝日」とで分離。土曜ダイヤは福岡天神発の列車を削減する。また、日祝に関しては朝時間帯に加え、18時以降の福岡天神⇔二日市を軸に大幅減便を実施。もちろん、土日祝日共通で最終列車も23時台で終電とするように調整する。
nimocaの乗車ポイント制度廃止
西鉄電車・西鉄バスの利便増進を図る理由から実施してきた「nimoca乗車ポイント」を、2021年3月31日を以て付与を終了する。
【運行会社】
【対象路線】
なお、記名式タイプの「スターnimoca」に関しては、引き続き、加盟店(主に西鉄系列)で買物した際にnimocaポイントを付与する。また、nimocaに加盟する西鉄以外の鉄道事業者に関しては、その事業者ごとの対応となる。
無記名式であっても乗車しただけでnimocaポイントが貯まる制度は、トクする人・ソンする人の差が大きいとみる。私は普段から自動車交通に依存しているため、nimocaを使うのは西鉄電車・バスをたまに使う時程度に留まる。そのため、nimocaポイントが付く・付かないは全く意識しない。そもそも貯まらないからだ。一方、定期通勤・通学ではなく、頻繁に福岡・北九州などへ旅行に出かけていた人にとっては、乗車ポイントの積み重ねで観光の負担軽減を図ってきた側面もあることから、乗車ポイントの全廃はかなり堪えるだろう。
乗車ポイントの付与を無記名式のみ廃止なら理解できるが、記名式のスターnimocaであっても廃止されることから、捻くれた考えで行けば「別にnimocaじゃなくていいじゃん」ってことにもなる。恐らく、西鉄電車・バスともに、別の交通系ICカードを使うユーザーも結構いることから、乗車ポイント付与で客単価を上げるやり方に限界が生じたのだと考える。
将来的にはnimocaをはじめとする、全国共通交通系ICカードの統合化も視野に、nimoca・SUGOCA・はやかけんの廃止(Suica・PASMOのどちらかに一本化)も考えられる。
近距離利用の基本運賃改定
COVID19の流行で福岡天神への旅行客が激減していることから、近距離移動に対する普通旅客運賃を引き上げる。対象は天神大牟田線と貝塚線。運賃改定は3月6日から。
【天神大牟田線】
- 3区(営業7~9キロ):250円→260円(△10円)
- 4区(営業10~13キロ):290円→310円(△20円)
- 5区(営業14~17キロ):350円→360円(△10円)
【貝塚線】
- 2区(営業4~6キロ):200円→210円(△10円)
- 3区(営業7~9キロ):230円→260円(△30円)
- 4区(営業10~11キロ):270円→310円(△40円)
天神大牟田線はともかく、貝塚線は全区間乗車で40円(往復80円)の大幅値上げとなる。この辺、地下鉄貝塚駅とJR鹿児島本線との新駅構想・直通にあたり、不採算路線の貝塚線に対する廃止に含みを持たせたのではないかと分析する。
福岡の庶民の足ですら、コロナには逆らえなかった。
上記の通りである。ただ、西鉄電車のダイヤはJR線のような極端な本数削減と異なり、あくまでも福岡都市圏に住んでいるユーザー相手に減便措置を執っている。特急が急行に格下げされると言っても、通勤・通学に支障を来す人相手に敵に回すことはせず、逆に比較的低頻度・気が向いた時に福岡都心へ旅行に出かける人に対してブレーキをかけるような中身なので、大げさに話題になる割には、意外と普段とそんなに変わらないと考える。
並行するJR九州は効率性を徹底させるため、理不尽な減便を平気でやるが、西鉄はこれでもよく粘った方。コロナが落ち着き、福岡経済の再生に弾みが付き始めたあたりで、少しずつ元の姿に戻って行けたら幸いかなと思う。
でも、乗車ポイント削減に関しては、さすがにnimocaの存在を脅かすのでは?(と同時に、SUGOCAのキューポ、はやかけんポイントの廃止も現実味を増してくる)