www.nishinippon.co.jp 言いがかりにもほどがある記事。「ネット予約きっぷの受け取りが出来ないのは、JR九州の傲慢な態度だ」という意見だが、私はこの話には懐疑的である。
ただでさえ職員不足で悩まされ、明確な収益確保が出来ずに、慢性的な鉄道事業の赤字経営から脱出できないJR九州において、いかにして鉄道会社の負担を軽減させていくのか模索していることを度外視してどうする。
JR九州は、これまでにも広報活動を通じて、鉄道利用者に対する負担をお願いしてきた。
- 無人化する代わりに、防犯カメラ設置で客の状況を遠隔監視
- 汎用型接近放送の積極導入
- 誘導ブロックの強化、あるいは新設
- ワンマン列車における、乗務員の安全点検を義務化
- インターホンで遠隔対応
- 発車標を廃止する代わりに、タブレットPCで列車位置情報を随時提供
- 身障者向けに、事前予約で介助するサービスを導入(当日予約でも可)。
- 福岡市内、または北九州市内に指定された駅から乗車する際、ネット予約きっぷを受け取れない場合は、一旦、駅員または指定席券売機が設置された駅までのきっぷを購入し、出札で事情を説明すれば、当該乗車区間の運賃を払い戻す。
(2022年1月より導入)- 定期券の新規購入は、有効開始日の14日前から発売するように改正。
- 定期券更新に駅窓口がない場合、窓口設置駅まで乗車して出札で事情を説明すれば、当該乗車区間の運賃を払い戻す。
(2022年1月より導入)※記事の中で、JR九州は「指定席券売機の増設は一切検討しない」とコメントしているが、実際には特急停車駅を中心に1基ずつ増設は行っており、直近では宇佐駅・南宮崎駅・宮崎空港駅のほか、開業時には未設置だった、西九州新幹線の駅(新大村駅・諫早駅)にも増設している。指定席券売機の調達は、鉄道運輸機構から借りてるというブログを見たことがあるが、どうなんでしょう?
確かに、JR九州側の対応や説明に不備があるのは事実だし、指定席券売機も過不足気味な駅が存在するのは分かる(JR九州は、少なくとも上記の駅対応見直しのことを、プレスリリースではなく、専用のWebサイトを開設して、丁寧に説明する必要がある)。だが、職員不足による営業体制の見直しは、決してJR九州だけの問題ではないし、これから先もますます運行本数・系統・発車タイミングを減らして、経営と本来の交通機関の役割をバランスよく保たなければ共倒れしかねない。
西日本新聞は自社のニュースサイトを通じて、JR九州の経営事情を度外視して、場当たり的に叩いている(ダイヤ削減で困ってます、列車が少なくて困ってますetc)。その割に、JRと同じように駅運営体制・優等列車の見直しに舵を切っている西鉄電車には、なぜか全く触れない。何か都合の悪いことでもあるのだろうか。
JRを少しでも楽にさせるためにも、言いがかりは止めて、感情的な主張は慎むように。そして、利用者も、JRの懐事情を十分に理解し、可能な範囲で乗車時間の変更やきっぷ受け取りのタイミングを変えるなど、多少の考慮を持って行動する必要がある。(客観)
まあ、記事にもある「ネット予約だと安いから」という言説を見るあたり、JR九州は2枚きっぷ・ネット予約の当日割引は廃止していい。JR西日本並の厳しさ(例:「21日前までに予約+2人縛り強制+変更不可」「当日予約分は、指定席料金を徴収(現在は無料)」「周遊、または往復トクトクきっぷは、全て2人縛り強制+指定された旅行代理店経由のみの発売」etc)を導入すれば、利用者は幻滅し、現実的な利用形態に変わるはず。