筑後からだとお隣さん感覚で行くことが出来る、「おんせん県」こと、大分県の新聞。県紙の大分合同新聞に加え、西日本・読売・朝日・毎日・日経が一通り揃っている。ココでは、県版が九州全域で固定されている日経と、最初から11版で固定されている九州産経を除いた、各紙の版立てを紹介していく。
全般的な話
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大分県の地方紙である大分合同新聞がダントツ1位のシェアを誇っており、ブロック紙の西日本をはじめ、全国紙を大きく引き離している。かつて、大分合同新聞は「朝夕刊完全連続紙」と称して、朝刊と夕刊を分離させてどちらとも配達(夕刊配達地域外では、翌日の朝刊に差し込んで配達)していたが、人口減少社会に太刀打ち出来ず、2020年4月1日付で朝刊と一体化された。
単純にシェアを比較すると、大分合同>>>>読売>朝日>毎日>西日本の順番になるものの、福岡・筑後地方に隣接する日田・玖珠地域では西日本新聞の読者層が多く、大分県版と言えども、大分全域の話よりも、日田・玖珠地域の話に特化した地域面を編集・発行している、というのが一般的な解釈である。ただ、日田・玖珠地域でも大分合同新聞と互角に競い合っている現状を見ると、決して西日本側も楽観視は出来ない。
版立て
西日本新聞のみ、博多区にある自社工場から輸送するが、他は基本的に小倉南区の朽網・長野から輸送。但し、日田・玖珠など、鳥栖・太宰府から輸送する方が近い地域の場合は、この限りではない。
大分合同新聞(E)
大分県の新聞である大分合同新聞は、今年4月1日付から朝刊単独発行に切り替わり、それに伴って紙面構成の見直しを実施。一面のデザインが佐賀新聞・宮崎日日新聞に見られる、横タイトル+天気予報、2~3タテ構成を基準としたレイアウトに切り替わった。
版立ては「E版」とあるが、朝夕完全連続紙の時は「朝E版」「夕E版」という形で流通しており、大分合同新聞社からバックナンバーを郵送して貰った(≒必然的に最終版になる)時もそのような版立て番号が記載されていた。そのため、以前は細かく版立て表記がなされていたのだろう。
発行部数低下や人口減少の煽りを受け、地域面を担当する地域支局も再編が実施されているものの、いわゆる「地域紙濫造防止」の役割がある「(地域)新聞」の表題は、現在でもしっかり残されている。一方、夕刊名物だった「ミニ事件簿」は3月31日付の夕刊で掲載が終了したが、いわゆる小規模で地域性のある短文ニュースコーナーとして「びびんご地域発ミニ事件簿」の連載が翌日付からスタート。事実上の引き継ぎと考えて良いだろう。
テレビ欄
(テレビ・最終面)
- 1ch NHK大分放送局(総合)
- 2ch NHK大分放送局(Eテレ)
- 3ch OBS大分放送
- 4ch TOSテレビ大分
- 5ch OAB大分朝日放送
- TNCテレビ西日本
- FBS福岡放送
- テレQ 九州放送
- BSチャンネル(BS1・BSP・日テレ・朝日・TBS・東京・フジ・イレブン)
(テレビ第2面)
- RKB毎日放送
- KBC九州朝日放送
- RNB南海放送
- EBCテレビ愛媛
- ITVあいテレビ
- EAT愛媛朝日テレビ
- KRY山口放送
- tysテレビ山口
- WOWOW(プライム・ライブ・シネマ)
- スターチャンネル
- BS12
- BSスカパー!
- 放送大学
(ラジオ)
- NHK大分放送局(第1ラジオ) 639KHz
- NHK大分放送局(第2ラジオ) 1,467KHz
- OBS大分放送 1,098KHz
- NHK大分放送局(FMラジオ) 89.9MHz
- FM大分(AIR-RADIO) 88.0MHz
(ケーブルテレビ)
大分県の民放は3局しかなく、日本テレビ系とフジテレビ系の番組をほぼ半々に放送するクロスネット局のテレビ大分と、単独のOBS(TBS系)・OAB(テレビ朝日系)で構成される。テレビ大分がクロスネットでネットできない番組がある時は、OBSが一部を担当することがあるものの、基本的には満足に見ることが出来ない土地柄である。
そのため、大分県自身がケーブルテレビ経由による福岡県からの再送信を推進しており、各自治体に地域チャンネル付きのケーブルテレビ局と契約した上で、隣県の民放を見るのが一般的である。ケーブルテレビに加入した場合は、必然的にBS・CSチャンネルも付属するケースが多いことから、大分合同新聞の最終面テレビ欄には、NHK+大分3局+TNC・FBS・TVQ(≒大分県に存在しないとされるキー局系列)+主要BSチャンネルを掲載することで、県民の情報格差を緩和させている。
但し、隣県とかなり近い場所では、遠い所から発信される電波を受信することで、直接的に福岡・山口・愛媛の民放を視聴できる。そうした意味では、2局縛りで再送信も制限が多い隣の宮崎県に比べれば随分と自由な環境であり、別の意味で「電波銀座」である。
西日本新聞(16▲)
大分県を取材・流通地域としている福岡の西日本新聞は、「大分・日田玖珠版」という名称で発行している。前述の通りに大分県内では全国紙よりも発行部数が少ない(約1.3万部前後)ものの、筑後地方に隣接する日田・玖珠地域では西日本新聞の顧客層が多いことから、地域面においては大分県内のことよりも、日田市・玖珠町・九重町の話に重点を置いて取材・紙面製作を行う傾向にある。
なお、大分県内では夕刊の発行を行っておらず、発行部数も少ないことから、地域面の1~2ページ分を借りて、在福発行の夕刊記事を半日遅れで掲載する(殆どが共同電)。熊本版と同様、鹿児島・宮崎の二の舞にならないか、不安である。
読売新聞(12▲)
大分合同新聞に次いで発行部数が多い読売新聞の大分県版。といっても、大分合同が約19万部なのに対し、読売は約5万部と、全然比較にならない。かつては夕刊を発行していたものの、取りやめになって朝刊単独になっている。
意外なのが福岡県に接している地域ほど、支局・通信部があるところ。特に全国紙のシェアが大きく、北九州・大阪・東京志向な土地柄である中津市・宇佐市と、福岡県筑後地方に近い日田市に取材拠点がある。純粋な大分県(隣県と接しない地域)では大分合同、隣県と接する場所では読売新聞などの全国紙も情報収集の一つとして捉えている、という解釈だろうか。
読売新聞の前日夕刊差し替え記事は、2ページ目に「よみうり寸評」が掲載されている程度で、殆ど在福・下関・長門のセット版の構成と同じ。
朝日新聞(13▲)
- 大分総局
- 別府支局
- 中津支局
- 日田支局
大分県内の朝日新聞は、約4万部程度。夕刊の差し替え記事は比較のしようがないので割愛。やはり京築・筑後と接する場所では、それなりに客層がいるものと見られる。
取材拠点は大分を軸に、別府・中津・日田の3箇所。通信部が無いため、朝日新聞の記者が取材できる範囲に限界があるのが現状である。
毎日新聞(12▲)
- 大分支局
- 各通信部(宇佐・別府・佐伯・日田)
大分県内の毎日新聞は、約2万部前後。西日本と僅差に近く、購読している客は極めて限定的と見られる。大分市に支局があるが、事実上、そこが総局の役割を果たしており、4箇所ある通信部で取材を行っている。日田通信部の連絡先が掲載されてないが、Google検索をする限りでは日田通信部の電話番号が記載されているため、ひょっとすると販売店も兼ねているのではと推測できる。
気になるページ数
緊急事態宣言に伴う自粛令の時に、三密回避(ソーシャル・ディスタンス)を徹底し、マスクを着用して新聞一部買いのために限定する形で緊迫感をもって行動(汗)。宣言中は、どの新聞も広告掲載が大幅に激減したことから、ページ数も通常に比べて2~4ページほど少なくなっている。
緊急時解除後に元の水準にまで戻れるかは疑問だが、基本的には大分合同・西日本・毎日が26~30p前後、読売が28~36p前後、朝日が28~32pで推移している。