自社の銘柄のみ印刷している新聞社は少なく、大抵は他の新聞社・出版社が発行している銘柄を受託印刷するところが多い。受託を受けた新聞社は、少なかれ委託に伴う収入が入ってくるため、表向きの論調とは真逆の銘柄を平然と刷らないと食べていけない。
そこで、ココでは「確認できた範囲」で委託を行っている新聞の銘柄をリストアップしていく。
朝日新聞
朝日新聞社の場合は、子会社の朝日プリンテックが印刷業務を担当している。川崎工場では中日新聞東京本社が発行している東京新聞の印刷受託を行い、堺工場では奈良県の県紙である奈良新聞も受託している。
朝日新聞の専売店(ASA)では繊研新聞や電波新聞の販売代行も承っているが、この印刷工場が代行印刷しているかは不明。
西部本社管内では北部九州と山口を中心に一定のシェアがあるものの、逆に南九州では各県の地方紙が圧倒的に多く、朝日新聞の介入が限定されている。そのため、鹿児島・宮崎・熊本の一部は南日本新聞社の印刷工場に委託している。また、輸送が難しい山口県東部(岩国・柳井など)では、中国新聞社が印刷を受託し、広島から輸送している。
読売新聞
首都圏では子会社の「読売プリントメディア」(青森県は「青森読売プリントメディア」)が、関西では「読売大阪プリントメディア」、北部九州では「プリントメディア西部」が読売本紙や報知新聞などを印刷している。他にも、複数の外部合弁会社により本紙を印刷しているケースもある(関西図書印刷・メディアプレス瀬戸内など)。
九州の場合、福岡・佐賀・山口県内など、北部では読売の勢力が強いものの、南九州では県紙の方が強く、さほど流通していない。そのため、鹿児島・宮崎と熊本県の一部地域は、宮崎日日新聞社の印刷工場に委託している。
号外の緊急配布にも対応しており、首都圏では東京都江東区にある印刷工場で、関西圏では読売新聞大阪本社に近接する印刷工場で高速印刷後、主要駅で配布される。
毎日新聞
首都圏では東日印刷、関西では高速オフセット、西部では毎日新聞九州センターがそれぞれ印刷を行っている。創価学会の機関紙である聖教新聞を受託していることで知られるが、他にも東スポや日刊ゲンダイといった大衆紙、産経新聞の印刷受託も行っており、最も他紙受託の依存が大きいとされる。
西日本新聞
西日本新聞社は2021年のグループ会社の再編で、取材を行う部署と一部の営業職のみ直営とする他は、100%完全子会社の西日本新聞プロダクツという会社に業務委託している(以前は紙面編集・印刷も直営だった)。JA機関紙と創価学会系の機関紙を受託しているほか、競馬エイトと呼ばれる産業経済新聞社の競馬予想紙の印刷も引き受けている。
産経新聞そのものは毎日新聞西武本社の印刷工場に委託しているが、競馬紙は西日本という歪な構造をしているあたり、産経の流通体制見直しと引き換えに、西日本が印刷を受託する可能性も、ゼロではないだろう。
(スタブ。気が向いたら続編も書きます)